COLUMN

山崎亮の「つながりのデザイン。」

#3 地域で出会った人々 ワークショップの仲間たち

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鹿児島市にある城山観光ホテルの一室でこの原稿を書いている。2009年から数年間、マルヤガーデンズという商業施設の開業準備を手伝ったことがあるのだが、そのときの社長がこのホテルの役員になっている縁で、ホテル内のホールで講演をさせてもらったのである。講演終了後は、鹿児島の経済界で活躍されている方々とともに美味しい食事をいただき、夜景が綺麗に見える露天風呂に入り、快適なホテルの部屋に戻ってきた。そこで今日の出来事を記しておこうとパソコンを開いた次第である。

縁のある地域から講演を依頼されるのは嬉しい。かつてワークショップで一緒に語り合った懐かしい仲間たちと会うことができるからだ。今回もまた、マルヤガーデンズで行ったワークショップの参加者たちに「鹿児島へ行くんだけど、講演前に会えないかな」と連絡してみたところ、平日の昼間にも関わらず「仕事を休みます」「時間休を取ります」と懐かしい面々が集まってくれた。

ワークショップを開催していたのは5年以上前のこと。それでも「山崎さんが来てくれると、普段は会えない私達同士も会えるので」と言いながら集まってくれるのがとても嬉しい。彼女たちはさまざまな仕事をしている。企業のコールセンターで働いている人もいるし、テレビ局で働いている人もいる。県庁職員もいる。また、マルヤガーデンズ側にはワークショップやコミュニティ活動を支援するコーディネーターがいたのだが、彼女たちも今は別々の仕事に就いている。初代の女性コーディネーターは、マルヤガーデンズの地下に出店する肉屋の店員と結婚し、北陸に引っ越したと思っていたら夫婦で起業してマルヤガーデンズの地下に戻り、肉料理を中心とした惣菜屋をオープンさせた。二代目の女性コーディネーターは友人の仕事を手伝っているので自由に休みが調整できると言う。そこで、集まったメンバーたちとともにマルヤガーデンズの地下へ行き、惣菜屋の店頭に立つ初代コーディネーターとの再会を喜んだ。三代目の男性コーディネーターは、もともと建築を学ぶ大学院生だったのだが、マルヤガーデンズのワークショップに参加するうちにコーディネーターの職を志し、マルヤガーデンズに就職することになった。いまは独立してまちづくりの仕事をしており、今日はラジオ番組のパーソナリティを担当しているという。そこで急遽スタジオにお邪魔して、マルヤガーデンズ仲間とともにラジオ出演して楽しんだ。

かつての仲間たちといろんなものを食べ、語り、笑ったあと、ホテルで講演をさせてもらった。講演会場では、ワークショップを開催していた頃のマルヤガーデンズ社長に再会することもできた。鹿児島の美味しい食事も、気持ちのいい露天風呂も、快適な部屋も嬉しいが、そこに懐かしい仲間との再会が加わるとさらに充実した一日になる。こうして今日の出来事を振り返ると、仲間たちとの再会が「また鹿児島に来たい」と思う理由になっていることがわかる。コミュニティデザインの仕事が楽しくて仕方がないのは、こうした仲間が全国各地に増え続けるからなのだろう。これは大きな報酬である。

PROFILE

山崎亮

1973年生まれ、愛知県出身。コミュニティデザイナー。studio-L代表。東北芸術工科大学教授(コミュニティデザイン学科長)。慶応義塾大学特別招聘教授。 大阪府立大学大学院および東京大学大学院修了。博士(工学)。建築・ランドスケープ設計事務所を経て、2005年にstudio-Lを設立。地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わる。まちづくりのワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、市民参加型のパークマネジメントなどに関するプロジェクトが多い。著書に『ふるさとを元気にする仕事(ちくまプリマー新書)』、『コミュニティデザインの源流(太田出版)』、『縮充する日本(PHP新書)』など。

    WRITER

    baus / BAUS編集部

    クリエイティブと社会の関係性において、 関わる全ての人々にとっての 「次」と「続き」を作る、そんなプラットフォームを BAUSは目指しています。

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