COLUMN

角田陽一郎の「2017年、的。」

#4 テレビが変わる“新しいきっかけ”

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11月も文化の日の3連休を終えました。2017年もいよいよ2ヶ月を切り、今年ももうすぐ終わりだなと実感します。

この3連休は、テレビ界ではエポックメイキングな「新しいきっかけ」が起こりました。
それは、AbemaTVで都合四日間配信された72時間ホンネテレビ。稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの『新しい地図』トリオの番組が大反響だったこと。

これは、まさに2017年的な、“新しいきっかけ”なんだと思います。
多分このことに関して、様々な記事等でいろんな方の感想が出たり、専門家も分析されるでしょう。なので僕が特に思ったことだけ書こうと思います。

ホンネテレビの視聴数はなんと7300万。この数字に関して言えば、やれ視聴率に換算すると、「何%だ」とか、「何万人が見た」みたいなことも言われていますが、これは当然ものすごい数字ですが、実は僕はあまり新しいことだとは捉えていません。
だってその“裏”で放送された4日土曜日の『プロ野球日本シリーズ』の第6戦は視聴率20%超えましたし、翌日5日日曜日の日本テレビの『世界の果てまでイッテQ!』も20%超えの大反響です。 つまり裏番組にはほとんど影響を与えていないのです。
つまりこの『ホンネテレビ』の反響を視聴率という概念で測ることが無意味になったことこそが、テレビ界での“新しいきっかけ”なんだと思うのです。
ここから新しい考え方が出てくると思います。
それは“裏番組”という考え方のナンセンスさ。

それは冷静に考えれば実は今までもそうでした。
番組を作る上で、例えばTBSのスタッフは視聴率でフジテレビの裏番組を常に意識していましたし、フジテレビはテレビ朝日を意識したりだとか、要するに同業他局の裏状況を気にして番組を編成し、制作していたのです。
つまり知ってか知らずか、目の前の他局をライバルだと思うあまり、それ以外のモノが見えてなかったのです。
でも実際その番組のライバルは他局だけではありません。Youtubeだったり、映画だったり、行楽地だったり、家族との団欒だったりします。実はそちらの方がはるかに強力な裏番組です。ちなみに誰かが言ってましたが、その中で最強の裏番組は『恋人とのLINE』なのです。

要は、「その人の人生の時間をどう過ごすか?」という観点にたちかえれば、全てのモノがエンタメでありライバルなのです。そのコンテンツにとっては裏番組なのです。
なのに、同業内での他社を意識することが、未だに各テレビ局内での最重要事項です。
「アホだなー」とか思われる人がいるかもしれません。
でも目の前のことだけに目がいってしまうと外の状況が見えなくなることは、どの業界にだって、誰にだってよくあることなのです。
いやもしかしたら、それは日本のいろんな業界内でも未だに無意識に行われているビジネス慣行なのではないでしょうか?

そんな中での『72時間ホンネテレビ』の成功で、テレビの中の人はいよいよその事実に気づかされるかもしれません。目が覚めると思います。

これはチャンスだと思います。
だってあとは、番組の“おもしろ合戦”をすればいいだけですから。

『ホンネテレビ』のラストで歌う3人のライブ映像では今まで見たことない映像が映りました。
それはスマホで写真を撮るお客さんの姿。

今までそれは、東京ドームでも国立競技場でも日産スタジアムでも、観客が何万人いても見ることのない光景でした。

それがむしろ自然なこととなり、むしろ撮られた画像はインスタやツイッターなどのSNSを通じて拡散され、さらにその番組を見る人が増える。

SNSの使い方として至極当然の使い方が、今まではされていなかったのです。

この4日土曜日には長年フジテレビのバラエティ番組の代表だった『めちゃイケ』の終了が番組内で発表されました。
このこと自体は僕みたいなバラエティ番組を長年作ってきた人間にとってはかなり寂しいことです。そして長年番組を作ってきた出演者と制作者に敬意を表したいです。

でもこれは、そういう意味でもテレビが変わる「新しいきっかけ」なんだと思うのです。

新しい“おもしろ合戦”の時代がやってきたのですから。

PROFILE

角田陽一郎

1970年生まれ、千葉県出身。バラエティプロデューサー。東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSテレビ入社。テレビプロデューサー、ディレクターとし『さんまのスーパーからくりTV』『中居正弘の金曜日のスマイルたちへ』など、主にバラエティ番組の企画制作をしながら、映画『げんげ』監督、「ACC CMフェスティバル」インタラクティブ部門審査員ほか、多種多様なメディアビジネスをプロデュース。著書に『最速で身につく世界史』(アスコム)、「オトナの!格言」(河出書房新社)、「成功の神はネガティブな狩人に降臨する –バラエティ的企画術」(朝日新聞出版)ほか。現在、フリーとして多方面に活躍中。

https://www.amazon.co.jp/「好きなことだけやって生きていく」という提案-角田-陽一郎/dp/4776209365

    WRITER

    BAUS / BAUS編集部

    クリエイティブと社会の関係性において、 関わる全ての人々にとっての 「次」と「続き」を作る、そんなプラットフォームを BAUSは目指しています。

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