COLUMN

山崎亮の「つながりのデザイン。」

#6 地域で出会った人々 —各地で活動する仲間たちー

記事メイン画像

地域で出会った人たちのことを思い出すと、「あの人も」「この人も」といろんな人の物語が思い浮かぶが、考えてみればstudio-Lの仲間たちの中にもすでに地域で活動している人がたくさんいる。

大学を卒業してすぐにstudio-Lのインターンとしてコミュニティデザインの現場を体験した西川亮くんは、その後NPO法人Co.to.hanaを設立し、デザインの力で社会の課題を解決する取り組みに携わっている。大阪市の北加賀屋地区でコミュニティファームのプロジェクト「みんなのうえん」に携わった際、その地区に事務所を構えていた西川くんたちに運営を引き継いでもらうことができたのは嬉しかった。

2010年頃にソーシャルデザイン関連のプロジェクトに携わっていた近藤佳奈さんは、岐阜県郡上市の石徹白地区にて地域おこし協力隊として活動している。石徹白地区の取り組みに興味を持って視察に訪れたところ、思いがけず近藤さんと再会することになった。嬉しい邂逅である。

大学を1年間休学してstudio-Lで働いていた赤松智志くんは、その後、山梨県富士吉田市で「SARUYA」というゲストハウスを開業した。そのゲストハウスに一度泊めてもらったことがある。地域の人たちとの関係性を大切にしながら誕生し、運営されていることが感じられる場所だったのが印象的だ。

大学卒業後から約半年間studio-Lの仕事を経験した加藤遥平くんは、アメリカの大学院で研究に携わった後、インドのタタ財団にて少数民族とともにワークショップを行う仕事に従事している。最近ではワークショップのプログラムがコミュニティに与える影響を評価するプロジェクトにも携わっているという。

兵庫県神戸市で「TEAMクラプトン」という設計施工事務所を経営している3人もstudio-Lでコミュニティデザインを経験した仲間たちだ。山角みどりさんはスタッフとして、山口晶くんと白石雄大くんはインターンとして、同時期のstudio-Lに関わっていた。彼らは今、施主や地域の方々とともに空間を設計し、施工している。「みんなでつくる」がコンセプトだという彼らの仕事は、単に美しい空間をつくるという以上の意味や価値を生み出している。

福島県猪苗代町の「はじまりの美術館」が開館する前に行われた地域住民とのワークショップに関わっていた関根詩織さんは、その後、美術館のスタッフとして採用された。ワークショップ時に知り合った地域の方々の協力を得ながら、美術館の運営に携わっていると聞く。

ほかにも、グラフィックデザインや写真など、さまざまな分野で活動している人たちがいる。彼らの仕事を注意深く観察していると、「人と人とのつながり」や「市民の主体的な参加」という共通点が浮かび上がる。コミュニティデザインというのは理解されにくい仕事の内容だし特殊な働き方でもあるが、大切にしたいと思っていることが共通している仲間たちとともに、少しでも地域の役に立つプロジェクトに携わり続けたいと思う。

いつかみんなと同窓会がしてみたいものだ。

PROFILE

山崎亮

1973年生まれ、愛知県出身。コミュニティデザイナー。studio-L代表。東北芸術工科大学教授(コミュニティデザイン学科長)。慶応義塾大学特別招聘教授。 大阪府立大学大学院および東京大学大学院修了。博士(工学)。建築・ランドスケープ設計事務所を経て、2005年にstudio-Lを設立。地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わる。まちづくりのワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、市民参加型のパークマネジメントなどに関するプロジェクトが多い。著書に『ふるさとを元気にする仕事(ちくまプリマー新書)』、『コミュニティデザインの源流(太田出版)』、『縮充する日本(PHP新書)』など。

    関連記事

    関連記事