COLUMN

スマイルズ 野崎亙の「チーム・チーマー・チーメスト」

♯1 コンセプチュアルなチームはやはり美しい。サッカーの話だけど。

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初めまして。スマイルズの野崎です。

スマイルズと言えば、「Soup Stock Tokyo」をはじめ、ネクタイブランドの「giraffe」やセレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」、果ては一日一組だけ泊まれるホテル「檸檬ホテル」など多種多彩な事業を行っています。
その中で僕はクリエイティブチーム20名程度の一団を率いて、2D / 空間 / WEBなどのデザインは勿論、広報・PRや販促企画、事業開発や外部のプロデュースなど、なんでもアリでお仕事を頂戴しています。
「大体なんでもできる!」が信条で頼まれたら断らないので、おっきなプロジェクトから小さなプロジェクトまで、普通の仕事から変わった仕事までいろいろと舞い込んできます。

様々なプロジェクトを進める上で、やはり肝になるのが“チーム”。
スマイルズの場合はインハウスや外部の方も含め、プロジェクトごとに新たな面々によるチームが構成されていきます。

 

ところで、今年2018年の最大の関心事と言えば「FIFAワールドカップ」。どうやら日本では少し関心が薄れているようですが、この記事が掲載される頃には、渋谷の交差点にいつもの景色が戻っているかもしれません。
こんな話を持ち出すぐらいだから、僕もにわかサッカーファン。その昔サッカーゲームで海外のサッカー選手を覚え、実際のサッカーにハマっていったクチです。ゲームのおかげで、メッシは彼が15歳の時から僕のお気に入りの選手でした。当時15~16歳だったメッシが既にゲームの世界でも選手登録されていたのです(コナミ凄い!)。

サッカーはまさにチームスポーツ。強豪国のチームには、そのサッカースタイルから様々な愛称が付いています。イタリア代表であればその昔「カテナチオ(かんぬきの意)」という守備的戦術が有名でした。スペイン代表であれば、怒涛のようにショートパスを繋ぎゴールに迫る「ティキ・タカ」で世界を制しました。「カナリア軍団」の愛称で知られるブラジル代表は、個の力を活かした自由な戦い方で有名です。フランスの「シャンパンサッカー」なんかも知られていますよね。

強豪チームは、脈々と続くコンセプトを持って、そこに所属する選手が誰であろうともその方針に従って戦略を練り上げることができる凄みがあります。
じゃあ僕が一番印象に残っているチームはどこかというと、1998年フランスワールドカップの決勝トーナメント一回戦「フランス対パラグアイ」の時のパラグアイ(マニアックでごめんなさい)。フランスワールドカップと言えば、我ら日本代表が初めてワールドカップに出場した大会ですが、開催国フランスがジダンやアンリなどを擁し初優勝を果たした大会として知られています。

その大会の決勝トーナメント一回戦。パラグアイも中南米の雄として堅守速攻を得意とするいいチームではあったのですが、下馬評ではフランスの順当な勝ち上がりを誰もが予想していました。
しかしながらそこで、パラグアイはとんでもない戦略に出ます。それはただひたすら“守る”。
試合の後半以降、僕の記憶が正しければ延長戦に至るまで、フォワードの選手も含めたほぼ全員がただ守る。守る。そう、彼らはフランスに勝利するための小さな小さな光明のためにそれに徹しました。
当時パラグアイのゴールキーパーと言えば、日本でも人気が高かった絶対的守護神チラベルト。キーパーなのにフリーキックを蹴りに行っちゃう、そして決めたりしちゃう人です。
PK戦にまで持ち込めば、あのフランスであったとしても五分五分、あるいはチラベルトがいる分有利。
延長戦なんかはそれはもうシュートの集中砲火。パラグアイは全員で守っているんだけど、フランスがただひたすらに、ガンガンシュートを打ってくる。なかばいじめなんじゃないかと思うぐらいに。それでも全員でその攻撃をただただ跳ね返し続ける。そのひたむきさに感動を覚えました。

結局は延長後半114分、ブランの決勝ゴールでフランスが勝利するわけですが、あと6分パラグアイが耐え抜いていれば、歴史は変わったかもしれません。あるいはルールも変わったかもしれません。

 

そういえば現在の日本代表監督西野さんと言えば、「マイアミの奇跡」と呼ばれた96年のアトランタオリンピックで日本がブラジルに勝利した時の監督として有名ですよね。
その時の日本もパラグアイばりにただひたすら守りに守って、相手の一瞬の綻びをついて勝ったわけですが、何故か日本の有識者からは「守備的な戦い方で日本らしさがない」と非難されていたようです。
その時もリアルタイムで視聴していた僕ですが、潔い戦い方に惚れ惚れしていたのもあり、「どんだけ夢見てんだお前らは!」と、素人の自分が有識者のお歴々に憤慨していたのを覚えています。
あの時の日本代表もパラグアイのチームも、確かに現実の自分たちの実力を十分に推し量った上で、誰も選択しないゲリラ戦のような極端な戦い方を遂行するコンセプチュアルなチームでした。

 

スマイルズのクリエイティブチームは寄せ集め集団です。一つ一つの職種は少人数しかいないので、きっと広告だけ作らせれば広告代理店の方が凄いだろうし、WEBだけ作らせればWEB制作会社の方が優れているかもしれません。だから僕たちは決して真っ向勝負は挑まない。
時として、デザインの依頼をされているだけなのに、何故か新業態を作って自分たちで運営してしまったり、クライアントのそもそものお題設定を変えてしまったり。
実業に携わっているからこそできる右斜め下ぐらいからのゲリラ戦を得意とするチームです。

本当に強いチームとは(別にサッカーに限らず)、「普通であればこうあるべき」という固定概念や理想論を捨てて、自分たちのことをよく知り、小さな光明へ向けて邁進できるチームなのかもしれません(僕がそういうチームを好きなだけかもしれませんが)。
さて2018年のワールドカップは果たしてどんなコンセプチュアルなチームが現れるでしょうか? それが日本であることを期待しています。

PROFILE

野崎 亙(のざき わたる)

株式会社スマイルズ
取締役
クリエイティブディレクター

京都大学工学部卒。東京大学大学院卒。2003年、株式会社イデー入社。3年間で新店舗の立上げから新規事業の企画を経験。2006年、株式会社アクシス入社。5年間、デザインコンサルティングという手法で大手メーカー企業などを担当。2011年、スマイルズ入社。giraffe事業部長、Soup Stock Tokyoサポート企画室室長を経て、現職。全ての事業のブランディングやクリエイティブを統括。外部案件のコンサルティング、ブランディングも手掛ける。


    文・野崎亙 タイトルデザイン・一ノ瀬雄太 編集・上野なつみ

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