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BAMP流、「ローカルWEBメディアの作り方」【前編】

徳谷柿次郎 × 佐藤ねじ

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世間を騒がす芸能人や、流行りモノにはノータッチ。5月末に創刊したWEBマガジン「BAMP」に登場するのは、ネットショップでゲームのアイデアを売る小学生や、長野の田舎町で地元に伝わる防寒着を作る認知症のおばあちゃん。「多様な生き方」の最前線を全国各地で発掘する、オルタナティブなメディアとして注目を集めている。「もともと僕らはローカルに興味があったんです」と口を揃えるのは、編集長の徳谷柿次郎さん(写真・左︎)とアートディレクター兼プランナーの佐藤ねじさん(同・右︎)。独自の視点を貫く“ローカルWEBメディア”は、いかにして生まれたのか? インタビュー前編では、ローンチに至る経緯、「小さな声を届ける」というコンセプトに込められた思いを聞いた。


——BAMPの創刊チームに参加することになったきっかけを教えてください。

徳谷さん:BAMPはクラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」と、Eコマースプラットフォームの「BASE」が合同で立ち上げたメディアです。両者の特色は一般市民が小規模でも独創的な活動に打ち込んでいるローカル感ですし、僕には『ジモコロ』の編集長として全国各地で取材を積んだ経験がありました。最初に制作を打診してもらったら段階で、単純に自分との相性の良さを感じましたし、「これはネジくんを巻き込めばイケる!」と。

佐藤さん:それは光栄だな(笑)。柿くんとは同い年だし、会社を独立したタイミングも近いし、気心が知れた仲だったので仕事がしやすかったですね。なにより、僕はもともとマス向けの仕事より、「空いている土俵」で高いクリエイティブを追求する仕事が好きでしたし、一時期は自社名を「ローカル」にしようと思っていたくらいです。「自分のやりたいことにマッチしてる案件だな」と、ワクワクしながらブレストに参加させてもらいましたね。

——コンテンツの方向性はどのように決まっていきましたか?

徳谷さん:CAMPFIREとBASEの取り組みを広めることが前提なので、利用者のインタビュー記事がメインになることは早々に決まりました。ただ、クラウドファンディングやネットショップの成功例だけを並べるのは違うのかなと。これまで明かしてこなかった失敗談に役立つヒントが隠れていることもあるし、実績のない駆け出しのクリエイターだって人の心を動かす物語を持っていることもありますから。取材する人々の「本当はここを伝えて欲しい」という部分を大切にするために、媒体のコンセプトを「小さな声を届ける」に設定しました。

佐藤さん:同じ時期に、メディアの名前も決まりました。最初は二つのサービス名をくっつけた「ベイスキャンプ」にしようと思ったのですが……ドメインが取れなくて、短縮バージョンの「BAMP」に。ただ、「小さな声を届ける」というコンセプトと、BUMPという言葉の「隆起する」という意味が合っているなと。

徳谷さん:そのイメージに合うように、サイトのモチーフには“日の出”を採用しました。一気に媒体の軸足が定まった気がしましたね。

——インタビューする相手を選ぶ基準を教えてください

徳谷さん:基本的には、直感的に「会いたい人」を選んでいます。ただ、最初は「かもめブックス」の柳下恭平さんのように、実績のある経営者の方や、かっこいいプロジェクトを成功させている方を対象としました。もともと有名で発言力のある人たちの「秘めた思い」を聞き出すようなスタイルでしたね。

佐藤さん:最近は、学校に通いたくないけどネットショップ運営で自分なりの勉強に励む小学生にも登場してもらって、それこそ「小さな声を届ける」ことが実現できていると思います。彼らのストーリーに入り込めるように、記事の背景を取材時に撮影した写真に指定できたり、インタビューの内容に合わせて文字の書体を変えられるようになっています。記事が読みやすいシンプルなUIをベースに、既存のWEBメディアより雑誌っぽさを出せる仕組みを用意しました。

徳谷さん:クラウドファンディングって、日本では「海外の便利なプロダクトを入手する手段」だと思われている部分がありますよね。でも、実際は消滅の危機に瀕する「ドラゴン」花火を復刻させるような、熱いストーリーを持つプロジェクトが全国各地で“発起”しているんです。それをBAMPで紹介することによって“隆起”させたいですし、読んだ人に「自分にもできる!」と感じてもらいたいですね。

佐藤さん:今後のインタビュー記事には、メディア初登場の人の登場回数がもっと増えてくると気がします。それが媒体の独自性につながるし、ローカルを盛り上げることにつながると思います。まだ走り出したばかりですが、流行りを追っているわけではないですし、東京と違ってローカルの状況は急速に変わるわけではありません。鮮度が長持ちする、価値のある記事を積み重ねていきたいですね。

PROFILE

BAMP

株式会社CAMPFIREとBASE株式会社が合同で2017年5月30日に創刊。 メディア運営は株式会社Huuuが行い、編集長には同社代表の徳谷柿次郎が務める。Web制作は、「超ノート術」(日経BP社 / 2016年)の著者で、アートディレクター兼プランナーの佐藤ねじ氏が参画。“答え” を提示するものが多い既存メディアに対し、“問い” を投げかけるメディアとして、「本当に伝えたいこと」を丁寧に拾い、発信している。

https://bamp.is

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