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一瞬で正解が塗り変わっていく街。台北、だから面白い! 

SCHEMA,Inc. × URBAN RESEARCH TAIWAN

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現在地は台湾、迪化街(ディーファージェ)。台北市の西部に位置するこちらは、19世紀の面影を残す問屋街として知られ、近年は、古い建物をリノベーションした今どきのカフェやセレクトショップなどもちらほら。台湾の「新しいカルチャー」と「古き良き伝統」が融合するエリアとして賑わってるそう。 通りを歩くと看板に書かれた繁体字の文字量に圧倒される。「台湾は、急に新しいお店が現れたりする。そこで目にするのがモダンで大胆なタイポグラフィの数々。これって、デザイナーが好きなデザインだけど、誰が作ったんだろう?というのが台湾の第一印象でした」。こう話すのは「SCHEMA,Inc.」代表の志連博彦さん(写真・右)。彼の初台湾は2014年1月。創業時から“機動力”に重きを置いて行動し続けており、日本帰国後もすぐに台湾に戻り、現地法人を設立するまでに至るーー。「URBAN RESEARCH TAIWAN」総経理の菱川直哉さん(同・左)が当時を回想する。「志連さんと初めて会ったのは、SUPER GIRLS EXPOの会場でしたよね?」。その後、ふたりは意気投合。「台湾で勝負してる同世代の日本人がいるのは心強かったですし、その場で、何か一緒にできればと思いました」。台湾国内でのEC販売をスタートしていたURBAN RESEARCHは、言葉通り、あるプロジェクトでSCHEMA,Inc.と仕事をすることになる。舞台は台湾。両社は現在進行形で、想いを形にし続ける。雑誌「BRUTUS(8月号)」の表紙写真が物議になるくらい話題性のある台湾だが、「今なぜ、多くの人がこんなにも台湾に注目するのか」、その理由を聞いてみた。 [Sponsored by SCHEMA,Inc]


舞台は台湾。“ビジネスの種”は街探索にあり!

東京・渋谷と台北にオフィスを構えるクリエイティブ集団「SCHEMA,inc.(以下・スキーマ)」と、日本を代表するセレクトショップ「URBAN RESEARCH(以下・UR)」の海外現地法人「URBAN RESEARCH TAIWAN(以下・UR TAIWAN)」。両社の代表、志連さんと菱川さんが出会ったのは、2日間で5万人を動員した「SUPER GIRLS EXPO 最強美少女博覧会」(台北市)の会場だった。

 

菱川さん:UR TAIWANの設立は2014年4月。UR初の海外販売子会社です。すでに日本国内でのEC事業として台湾向けサイトを展開していたんですが、台湾のお客様へのサービス向上のため、現地に軸足を置いてEC事業と店舗開発を本格的に進めていく話があって。1人で台湾に乗り込んでいったのが僕です(笑)。志連さんが初めて台湾に来たのも、たしかちょうどその頃でしたっけ?

志連さん:僕が台湾に初めて訪れたのは2014年1月。毎年福岡で開催される「明星和楽」っていうテックイベントがあって、いつも参加してみたいなと思っていたところ、なぜか2014年は開催地が台北だった。東京から福岡に行くのも台北に行くのも、時間・費用・労力の全コストが同じだったので、訪れたことのない台湾に行ってみることに。その時に、いろんな会社に訪問させてもらい、現地で働くデザイナーたちが普段どこで何をしているのかを聞いてまわった。古い工場をリノベーションした「華山1914文創園區」「松山文創園區」や「西門紅楼」「四四南村」、蔦屋書店のロールモデルとなった「誠品書店」と出会い、そこで初めて、台湾のデザインの現状を知ったんです。僕が中華圏のデザインを知らなかっただけなんですが、例えば、お茶のパッケージを見てみると、漢字と英字の文字組がとても綺麗に組まれていて、すごく洗練されてみえました。英語と中国語の2言語が表記されていれば、グローバルな販売ルートに対応できたも同然だなと。

世界中を旅してクリエイティブの糧にする。こんな想いを大切にし、設立以来、毎年社員旅行で「いま気になる国(欧米の都市)」に訪れ、現地で働くクリエイターと交流を深めてきたスキーマ。自分の足で赴き、文化や風土を肌で感じ、実際に対話をするーー。“思いついたらすぐ実行”を信条とする志連さんらしい「予感」が、スキーマの台湾進出の足がかりとなったのだ。

 

志連さん:台湾は、特に台北は、コンパクトな街で生活インフラが圧倒的に整備されてます。治安も東京より良いと言われてるし、年代問わずネットリテラシーが高い人が多いのも特徴。交通も、台北市内ならTAXIでどこでも行けてMRTも便利ですし、なによりシェアリングバイクの利便性が良すぎます! 僕は毎日使ってます(笑)。基本的には親日家の人が多いし、親切だし、日本語もかなり通じる。こんなにコミュニケーションコストが少ない外国は台湾をおいて他にないですよ。

菱川さん:僕も、最初に台湾に来た時に同じような印象を受けて、都市としてのポテンシャルの高さを感じました。正直ファッションやメイクなど、日本に比べてこれからな部分が多いのも事実ですが、日本同様に変化していく可能性は高いと思います。BEAMSさんやユナイテッドアローズさんが台湾に進出してきたのも、ほぼ同時期なんで、そういう潮流があるんだと思います。

志連さん:UR TAIWANの会社名の中国表記って“城市探索”じゃないですか? いいネーミングですよね(笑)。僕の唯一の趣味は「台北の街を端から順に街探索すること」なんで、城市探索の名前には勝手に親近感わいてます(笑)。でも、この趣味があったおかげで、台湾の人たちが日々何を考えて、どんな生活をしているのか、何が流行っているのか、ネットやガイドブックには出てこないような肌で感じる「生の情報」を得ることができ、ビジネスやアイデアのヒントにつながっていると感じます。「こんなところにカフェ作ったの?」とか「え!?もう、あの店潰れたの?」とか。予想外なことや、展開が早すぎるのも、僕が台湾のことが好きな理由の1つですね。街探索から、直近の台湾の未来は予測できると思ってるんで!

菱川さん:おっしゃるとおり、台湾って流行やトレンドのサイクルがとても早いので、UR TAIWANの話でいうと、メインターゲットの中間層と呼ばれる人たちの消費動向を掴むのがとても難しいなって感じてます。消費者ニーズをどう掴むか、ですよね。URが台湾で継続的に成長していくためには、グローバルなハイブランドでもファストファッションでもないURの服の良さを、まずは体験してもらうことが大切です。ワークショップとかイベント主催なども行なってて、最近はしっかりブランドが認知されていってるなと感じます。でも、僕も、もっと街探索した方がいいですね(笑)

UR TAIWANとスキーマ。両社による仕事は、URが「三井アウトレットパーク台湾林口」に出店するにあたり、その際に使用するオープン記念用ショッパー(手提げ袋)のデザインをスキーマに依頼したことに始まる。「URは日本のブランドなんで、日本人の感覚でクリエイティブを作りたかった。その上で現地のマーケットのことを知ってるクリエイターをちょうど探していたんです」と菱川さん。時は2015年1月。台湾と日本を往復しながら、着実に実績を増やしていたスキーマは、この頃、現地台湾人スタッフを雇い、小さいながらも台北駅の高層ビルにオフィスを構えるに至っていた。

 

菱川さん:ショッパーの依頼にあたり、スキーマさんにお願いしたのは3点。1点目は、他のブランドやお店に比べて目立つこと。2点目は、お客さん自身が楽しい気持ちになれること。3点目は、SNSなどで拡散される仕掛けがあると、なお嬉しい!ということ。この3つでしたよね?

志連さん:そうですね! キャンペーンの企画段階から声をかけてもらい、嬉しかったです。デザインについては、フラットなイラストを採用し、台湾人にも日本人にも親しみがもて、かつ、URらしい都会的で洗練されていながらカジュアルであることを意識しました。あとは、「あの袋はどこのお店の?」と注目してもらえるよう、人の顔イラストが逆さまになっているとモール内で歩いてる際に目立つだろうなと。そしてSNSとの連動感。台湾はFacebookやInstagramの利用率が日本よりも高く、また、自撮りをすることに抵抗のない人たちなので、彼ら彼女らが投稿したくなるような仕掛けも用意。紙袋を被ってSNSに写真投稿した人に「限定品プレゼント!」というキャンペーンを提案させてもらいました。

菱川さん:最初、ショッパーを被ってSNSに写真投稿する人ってどのくらいいるのか不安でしたが、みんなちゃんとタグ付けで投稿してくれていて驚きました(笑)。スキーマさんのお陰でオープン記念キャンペーンは大好評。すっごく話題になりましたね。

志連さん:僕も、現地に買い物に出かけていた駐在員の人たちから「あの袋、スキーマさんが作ったの?すごく目立ってたよ!」って言ってもらえて、すごく手応えのあったお仕事でした。

 

いま改めて、台湾がおもしろいワケ。

物価が安くて、移動もラク。夜市でB級グルメを食べ歩き、話題のスターシェフによる台湾グルメに舌鼓。未来の巨匠を探すなら、最新のギャラリーカフェへGO。お茶文化も気になるけど、こだわりのコーヒースタンドで自分好みの一杯を見つけたい。目下、クラフトビールが花盛り……。台湾を特集した雑誌のページをめくると、こんなキャッチワードが並んでいるが、台湾に暮らす菱川さん、東京と台湾の2拠点活動を続け、1年のうち半分近くを台湾で過ごす志連さんは、どんなところに魅了されているのか。そして、「いま、台湾のどこを見るべきか」

志連さん:ガイドブックに載っている台湾は、もちろん台湾。小籠包を食べて九份に行き、夜市で魯肉飯とマンゴーかき氷を食べて、最後に足裏マッサージに行く。これが基本です。渡辺直美が紹介してくれる台湾みたいなイメージですね。今はそれが売れる!って出版社の人が言ってました。ただ、僕から言わせてもらうと、台湾の魅力はそこだけじゃない。観光以外のビジネスやデザイン視点でみると、欧米圏や日本とは異なる時間軸でトレンドができあがっている気がする。すごく流行の展開が早いんですよ。本当に街の移り変わりが激しい。しかも、脈略がない感じ(笑)。そこが、今の“台湾らしさ”だと思ってます。

菱川さん:確かに、雰囲気がよくてお気に入りだったお店に数週間ぶりに行ってみると、「もうない!」ってことは日常のひとコマですよね。熱しやすく冷めやすい人が多いのは間違いないです。消費ニーズを掴み、分析し、ライフスタイルに紐づいたファッションを提案する身としては、正直大変な面も多い(笑)。

志連さん:スキーマでは現在、台湾食品メーカーの新ブランドの立ち上げやパッケージのデザインなどを手がけることが多いんですが、マーケティング先行でマス層に響くデザインに仕上げるのは、簡単ではないですね。正解が塗り変わっていく速度が速いですから。常に情報をアップデートしないと、波を読み間違える。おもしろいのが、今の台湾の流れでは、そもそも波は読むものではなく作るものだっていう発想の人たちが何組か出てきています。彼らは欧米や日本に留学したあと、世界のトレンドに精通した状態で台湾に帰国して自分の感覚でビジネスを展開してる人たち。

菱川さん:例えば、代表的なのは富錦街(フージンジェ)エリアの人気の火付け役として知られるJayさん(呉羽傑)とかですよね?

志連さん:そうですね。昨日も「Fujin Tree 353 café」に行ったら、Jayさんが居たんで立ち話をしてたんですが、いま1番おもしろい会社だなって思います。彼の会社「富錦樹グループ(Fujin Tree Group)」は現在、界隈にカフェやショップなど10店舗以上を展開していて、どの店も実に居心地がいい。個人的な好みもあるけれど、ストーリーのある暮らし、台北のライフスタイルを牽引する存在だと思います。他には「小器」や「好様VVG」など。彼らのセレクトするセンスは、今の台湾の目線そのもの。

菱川さん:彼らに共通しているのは、無駄に力がはいっていない点。台湾のゆったりとした空気とMIXして、“らしさ”を感じる。本質の捉え方は人それぞれだけれど、「丁寧な暮らしとは?」っていう視点で街歩きをすると、その土地の文化や歴史を知るきっかけにもなりますよね。台湾にいると日々、そういう小さな発見ができるのが楽しい。

志連さん:菱川さんも僕も、なんで台湾で会社を続けてられるかっていうと、彼らと一緒で脱力系台湾人と同じ空気感っていうか、いい意味での「抜け感」みたいなところが合致してるからだなって思います。でも、あれですよね。台湾人の「抜け感」って本当に抜けてるだけというか、無自覚なんで、僕はそこが好きです(笑)

 

写真で切り撮る、「台北のいま」

富錦街にある人気のカフェ「Fujin Tree 353 CAFE」。自然光と観葉植物、ウディな家具が心地いい
富錦街エリアを人気の通りに変えたJayさん。気さくな人柄で、台北の“新しいライフスタイル”を牽引中
日本に住んでいたので日本語も流暢なJayさん。「ゆったりとした雰囲気で、いつ来ても癒されます」と志連さん
「Fujin Tree 353 CAFE」に限らず、市内のカフェにはオリジナルアイテムやセレクトした商品が並ぶ
街中に驚くほどグリーンが多いのも台北の魅力のひとつ。公園もそこかしこにあり、市民の憩いの場に
台北市民やトラベラーに人気のシェアリングバイク。「僕の場合、長い移動にも重宝しています」と志連さん
台湾といえば夜市、そしては言わずと知れたB級グルメ天国。「台北イチうまい!」と噂の炒飯に舌鼓!
「全台 炒飯ランキング」で見事1位になった民生炒飯の店主。撮影をお願いすると、ご覧のような決めポーズで笑顔に
オリジナル商品のパッケージはオーナー兼グラフィックデザイナーのArwenさんが担当。取材班も購入
「狼がかわいい!」と話題の台湾茶専門店「琅茶 Wolf Tea」。気さくなスタッフと談笑する志連さん
取材班の拠点は「Flip Flop Hostel - Gaeden」。和やかな雰囲気の共有スペースに旅行者や台北っ子が集う
滞在中、同ホステルの奥にあるアートスペースに行くと、台北っ子が壁にグラフィックアートを製作中
「撮影してもいいですか?」こんな風に声をかけると、「もちろん!」と記念撮影に応じてくれた
目下、台北市内はリノベーション花盛り。ふらっと立ち寄ったアートスペースで出会ったアート作品
台湾のクリエイティブパークとして知られる「松山文創園区」。写真はハイセンスなグッズが揃う「台湾デザイン館」
「台湾デザイン館」ではmade In TAIWANのグッズを中心に、海外のデザイングッズも販売
ライフスタイルショップが並ぶ「誠品生活 松菸店」では、ワークショップなどの体験イベントが花盛り
3Fの「誠品書店」には書籍を中心に台湾カルチャーを知るための書が揃う。日本の雑誌、日本を紹介する雑誌も充実
「デザイン系の専門書が揃っているので、誠品書店には時々、顔をだしています」と志連さん
made in TAIWANのクラフトビールが感度の高い台北っ子を中心に話題。ラベルのグラフィックデザインも◎
お米を中心に、台湾ブランドの食器などが揃う「YEHJINFA RICE MILL」。台北を象徴するライフスタイルショップ
「台北市内は路地裏が面白いんです。若いオーナーの店と出会えたり」と志連さん。城市探索は続くーー

PROFILE

SCHEMA,Inc.

WEBサイト構築やスマートフォンアプリのUI/UXデザイン、グラフィックデザイン、CI/VI計画など、デザインを軸としたクリエイティブ業務全般を幅広く担当する制作ディレクター集団。2009年、設立。時代の動きにあわせたクリエイティブを追求すべく、機動力・行動力を最優先事項として捉え、課題解決のための創造的なデザインを提案し続けている。2014年には台湾に進出。現地法人化し、新たな拠点を設ける。現在、現地の食品メーカーのブランディングや新ブランドの立ち上げ、パッケージのデザインワークなどを手がけている。

http://llschema.com

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