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確定申告のコツを税理士に相談!経費のボーダーはどこ?

宮崎雅大 × 鈴木茉理奈 × 白濱絵里奈 × Poi Akiyoshi × 尾崎恵

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フリーランサーにとって煩わしい時期がやってきた。そう、確定申告だ。日頃、クリエイティブワークに没頭していればいるほど、急いで準備をする人も多いはず。それがフリーランス1年目となると、どんな出費まで経費として計上していいのか、青色申告と白色申告で何が変わるのかなど、よくわからないことも多いに違いない。そこで今回は、フリーランスになりたての方々にお集まりいただいて確定申告相談会を開催した。参加したのはイラストレーターの鈴木茉理奈さん(写真・左)、ミスコン出場者のトレーニングやイベント出演を仕事にする白濱絵里奈さん(同・中左)、グラフィックデザイナーのPoi Akiyoshiさん(同・中右)、イラストレーター兼デザイナーの尾崎恵さん(同・右)の4名。そして講師を務めるのは、フリーランスの税務相談に親切な対応を見せることで評判の税理士・宮崎雅大さん(同・中央)。経費として計上できるボーダーや法人化を目指す分岐点まで、フリーランスの気になる税務のあれこれを伺った。


事業用とプライベート用を分けて、会計しやすい仕組みづくりを!

ーー初めに「確定申告とは何か」から説明をお願いできますでしょうか?

宮崎さん:わかりました。そもそもの話からすると、会社員の場合は所属する会社が年末調整をして税務署に申告を済ませてくれるんです。でも、会社に勤めていない人や副業をしている人は自分で所得税を納めなければいけません。そのために自身の収入を税務署に申告することを「確定申告」と呼びます。例年3月15日までに電子手続きか郵送、もしくは窓口受け渡しで提出するように決まっていて、副業をしている人は会社の給与と合算して申告します。ちなみに「所得」とは、売上から経費を差し引いた金額のことです。この所得にさまざまな算式を使って税額を計算するのですが、今回参加されたみなさんは何か会計ソフトは使っていますか?

 

ーー使っていないようです。

宮崎さん:でしたら、来年以降の確定申告を楽にするため、ぜひ会計ソフトを利用することをオススメします。最近はオンラインバンキングやクレジットカードのデータを連携することができるので、売上と経費の集計が楽になりますから。ただし、ネットバンキングやクレジットカードは種類によって1年前のデータが連携できないものもあるので、2017年分の確定申告では利用できない可能性があります。気をつけてくださいね。そして、会計ソフトを使うより前にしておきたいのが、記録しやすい仕組みをつくることです。そのためには、通帳やクレジットカードを事業用とプライベート用に分けるようにしてください。

Poiさん:私は使っていない口座を事業用として利用しています。個人名義なのですが、それでも大丈夫でしょうか?

宮崎さん:大丈夫ですよ。事業用に口座を用意する場合、ネットバンキングの管理手数料として月額費用がかかってしまう場合もあります。プライベートと分けて管理できるようにしておいてください。もし新しく事業用ネットバンキング口座をつくるなら、2018年1月時点のオススメは楽天、SBI、ジャパンネット、ゆうちょ銀行です。管理手数料がかからないので、毎月の費用を抑えることができますから。

 

青色申告と白色申告の手間に差はなくなった

ーーちなみに、みなさんは青色申告ですか?

白濱さん:まだ決めていないんです。

宮崎さん:青色申告は開業後2ヶ月以内か、1月1日から3月15日までに「所得税の青色申告承認申請手続」を済ませないといけないので、今回は無理でも次回に備えて手続きを忘れないようにしてくださいね。

尾崎さん:青色申告と白色申告で何が違うのでしょうか?

宮崎さん:青色申告にすると、白色申告にはない特典があります。例えば、パソコンのような仕事道具を30万円未満なら経費として計上できるようになったり、65万円の特別控除の適用があったり。しかも、2011年の改定で青色申告だけでなく白色申告も帳簿をつけることが義務づけられたので、同じように帳簿をつけるのであれば特典のある青色申告にした方がいいですよね。そして、元帳をつけるにあたっては、会計ソフトを利用して収入や経費の仕訳をきちんと行うようにしてください。特に今は「弥生」などインストールして利用するソフト以外にも、「マネーフォワード」や「freee」のようにオンラインで利用できる会計ソフトも普及しています。以前より個人で申告しやすくなっているので、ぜひ青色申告にすることをオススメします。

鈴木さん:65万円の特別控除にはどんな出費が適用できますか? プライベートの買い物にも利用できるんでしょうか。

宮崎さん:いいえ、プライベートの出費には適用できません。計上できるのは、あくまで仕事に関係あることに支払った費用のみになります。

宮崎さん:ただし、3月15日までに提出しないと、65万円の特別控除を利用することができないので注意してください。私が聞いたことがある話では、期限内に確定申告書を提出しなかったばかりに65万円控除を受けられず、さらに税金を納めることになった方がいるそうです。

 

弁護士にとってスーツは衣装。しかし経費にならない!

ーー次にどこまで経費に計上できるのか。そのボーダーが知りたいです。

白濱さん:私はイベントに出演することも多いのですが、その際の衣装代を経費に計上できるのか気になっています。

宮崎さん:実は洋服を計上することは難しいんです。以前、弁護士をしている顧客から10万円以上のスーツを経費に計上したいという相談を受けたことがありました。その際、法廷でパフォーマンスを発揮するために必要な服装だからと。気持ちは理解できたのですが、私は経費にすることが難しいと返事をしました。プライベートでも使う可能性が高かったからです。その一方で、大工さんが作業着として服を買ったら、それは経費に計上しやすい面があります。つまり、事業用ということがはっきり主張しやすいかが判断材料になるんです。

宮崎さん:またエンジニアなどの職業であれば、アプリの検証のために利用しているスマートフォンの本体価格を計上できることもあります。もちろん、その他の職業でもスマートフォンやタブレットを仕事で利用している場合は、月額利用料の中からプライベートで利用している割合(家事消費割合)に乗じた金額を減額して費用計上できます。

Poiさん:私は自宅で仕事をしているのですが、そういった場合の家賃は経費にできるんですか?

宮崎さん:家事共用資産といって、事業用の割合を決めれば経費に計上することができますよ。たとえば、マッサージ師が自宅でサロンを開く場合、賃貸している部屋全体のうち業務用として使用している面積分の家賃を経費にできます。なので、これから住まいを探す場合は、2LDKのように作業部屋と住居を分けやすい間取りを探すのがオススメですね。分けられない場合も、棚で作業部屋と住居の敷居をつくっておくと、調査が入ったときに主張しやすくなると思います。

尾崎さん:あの……調査って何ですか?

宮崎さん:ちゃんと確定申告を申請しているかを税務署が調べに来ることがあり、きちんと申告通りに部屋を使っているか確認されるんです。ただし、フリーランスの場合は調査が来る可能性はかなり低いと言われています。そこまで大きな売上がないかぎりはビクビクする必要はないですよ。

フリーランスが法人成りする分岐点とは?

鈴木さん:フリーランスと法人ではどんな違いがありますか?

宮崎さん:いろんな観点がありますが、会社よりフリーランスのほうが経費を主張しにくいのが特徴です。たとえば、法人名義のクレジットカードを用意しておけば、そこで購入したものは法人の所有物だってわかりやすいですよね。仮に自動車を購入しても、100%減価償却で計上することも可能です。ただし、きちんと仕事で利用していることが条件ですが。

Poiさん:具体的にどのタイミングで法人化した方がいいなどのボーダーはありますか?

宮崎さん:所得600万円か、売上1000万円を超えたタイミングで検討してみるといいですよ。600万円のラインは、個人と法人で税金の負担が逆転するラインと言われています。また、1,000万円のラインは、消費税の納税義務の判定に影響が出てくるからです。ただ、私は以前より法人化のメリットは少なくなっていると思っています。

ーーなぜでしょうか?

宮崎さん:法人になると税金だけでなく、他の経費も増えるからです。年末調整や法定調書、償却資産税の申告といった作業も増えます。そして、個人事業主より法人の方が、税務署の調査が入る可能性も高いですし。法人の場合は3月15日以外を申告の時期に設定することができるので、税務署の手が空いた時期に調査が来やすいんですよ。

鈴木さん:それだけ聞くと、法人にしない方がいいのかなと思うのですが、フリーランスのまま売上を伸ばしていった場合のリスクってあるんですか?

宮崎さん:所得税は超過累進税率なので、所得が増えれば税金も増えていきます。だから、所得600万円が法人化を検討するラインになるんです。ただし、これからの時代はフリーランスとして活動する人がもっと働きやすくなると思っています。例えば、基礎控除額が38万円から48万円に引き上げられる案が検討されています。また、1社で社員の生活を支えるのが難しくなっているので、どんどん副業が許可されていくことも予想されます。そうやって考えると、税制面でもフリーランスのまま活動しやすい環境がもっと整っていくのではないでしょうか。なので、これからのフリーランス生活をぜひ頑張ってください。いつでも相談に乗りますよ。

PROFILE

宮崎雅大

宮崎雅大税理士事務所代表。クラウド会計ソフトなどを活用した「費用収益」「お金の流れ」の見える化を得意とする。夜や土日での対応も可能。また、チャットツールを使った税務相談も行っている。

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    写真・佐々木康太 文・新井作文店 編集・村上広大

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