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「業界の1歩先を行きたい!」映像プロダクション・エルロイの目指すワーク&ライフの充実

株式会社エルロイ

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映像業界では、プロダクションが案件ごとに外部のクリエイターとタッグを組んで制作を進めることが多い。そのなかにおいて、エルロイはちょっと異質だ。撮影から編集、納品までを社内で一貫制作しているからだ。そして、2012年の設立から約6年の月日を経て、ワークフローの確立や若手の台頭など、少しずつだがこのスタイルは円熟味を増している。このエルロイのような会社を映像プロダクションの2.0とするならば、次に目指すは3.0だろう。特に昨今は動画コンテンツの需要が増している。そんな時代においてどのような未来のビジョンを見ているのだろうか。プロデューサー・演出の和田篤司さん(写真・中央)、プロデューサー・演出・脚本の土屋哲彦さん(同・右)、カメラマンの髙橋一己さん(同・左)に伺った。 [Sponsored by エルロイ]


6年の月日が培った、映像プロダクションとしての「進化」と「深化」

――2012年6月にエルロイが設立されてから6年という月日が流れました。その間、社内にはどのような変化があったのでしょうか。

和田さん:積極的に変えてきた部分と、あえて変えてこなかった部分がありますね。たとえば、自社一貫で映像制作を手掛ける体制。

土屋さん:一貫体制は、エルロイが設立時から徹底的に守り続けてきた「型」みたいなものです。もちろん、6年という歳月をかけて磨いてきた部分も数えきれないほどあるし、「他には真似できないだろうな」という自負も芽生えてきました。

――時間をかけて磨いてきたもの。詳しく伺いたいです。

和田さん:僕らは「現場ファースト」「ワーカーファースト」という思想を掲げて組織づくりを進めてきました。目指してきたのは、いわゆるトップダウンのピラミッド型組織ではなく、最前線となる現場スタッフを経営陣が支える「逆三角形」のモデルです。そうした環境や文化というのは少しずつ形づくれてきたのかなと。

高橋さん:2016年に社屋を移転したのですが、その時も「現場ファースト」で立地やレイアウトを検討したんですね。そのおかげで、かなり働きやすくなりました。それに何よりスタッフのレベルが格段に上がり、制作物のクオリティも目に見えて変わってきた。請ける仕事のレベルも年々上がっているように感じます。いいサイクルが生まれていますね。

和田さん:自分の大きな変化は、プロデューサーとしてフロントに立つのをやめ、そうした組織強化や労働環境にメスを入れるといった「経営」に専念したところですね。

土屋さん:映像制作ってやっぱり楽しいし、毎日興奮して映像をつくっていると経営に集中できなくなるよね(笑)。

和田さん:映像制作をしながら「映像制作を改革する」って、本当に難しかったです。現在の体制になって、社内環境も整備できたのかなと思っていますが、次は2020年代、30年代にフィットする組織を進化させたいな、と。今後目指すべきは、ブロックチェーン的な「自律分散型」のフラット型非中央集権的組織なのか? それとも、あえて封建的思想の組織を保ちながら、どうにかアップデートしていくのか? など今まさに模索しているところです。

映像コンテンツの需要の高まりのなかで大きく変化している映像業界

――この6年で、映像業界自体も大きく変化しているのではないかと思いますが、皆さんはどう感じていますか?

土屋さん:ここ5年くらいで、Webに関連した映像制作が一気に増えてきましたね。

和田さん:それまで、特にCM制作会社は民放5局を中心する限られたCM枠を奪い合っていて、新興の制作会社がそこに食い込んでいくことはなかなか難しかった。でも、Web上での映像コンテンツの需要が高まったことで新しい市場が生まれ、参入障壁がかなり低くなったと思います。

土屋さん:その一方で、企業サイドは限られた広告予算の中でいかにWeb上のコンテンツを制作するか? という課題が生まれました。そうなれば、当然コストパフォーマンスの高い制作会社を選びたいはず。その波にうまく乗れたのがエルロイなのかなと思います。

――Webムービーの需要拡大に、何が大きく影響したのでしょうか?

土屋さん:いちばんはスマートフォンで動画を観られる環境が整ったことだと思います。それによって動画のフォーマットにも変化が起きていて、縦型動画や尺が長めのものも誕生しました。つまり、テレビCMでやってきたことをただトレースするだけでは通用しない。だからこそ、作り手の力が試されているなと個人的には思います。

――それは映像クリエイターにとって面白い環境になっているということでしょうか?

高橋さん:10年くらい前までだったら、泣ける映像ってそのほとんどが映画かドラマだったと思うんです。でも、そういうコンテンツがWeb発でどんどん出てきていますよね。

和田さん:エルロイの実績で言うと、2017年の電通広告賞を受賞した『写真っていいね』(キヤノンマーケティングジャパン)という写真を通じて親子の絆を見せていく2分超の映像コンテンツがあるのですが、小学校の時の担任からFacebook経由で「映像を観て、私泣いたよ」とメッセージが届いて驚きました。

高橋さん:映画館に行かなくてもテレビの前にいなくても、そういうコンテンツが観れる環境が生まれてきているので、作り手としてはいろんなことに挑戦できて面白いと思いますよ。

――そういった環境の変化によって映像クリエイターに求められる能力も変わってきているのでしょうか?

土屋さん:適応能力は求められている気がします。たとえば15秒30秒の映像と、2~3分の映像では、ただ単に尺が長くなるというだけでなく、作り方も考え方も大きく変わると思うので。

――そういう意味では、CMもドラマも映画もやるというエルロイの方針はいまの時代にマッチしている気がします。

土屋さん:確かに、エルロイはいろんなことをやるのが当たり前で、スタッフ一人ひとりの能力の幅も広いと思います。これがCMとか映画とかに特化していたら、また違った会社になっていたんじゃないですかね。

――エルロイは分業制ではなく一貫制作をこだわりにしていますが、それもこの6年のなかで成熟してきているのでしょうか?

高橋さん:そうですね。手前味噌ですが、他の会社の人から羨ましがられることもあります。

――それはどういうところで?

高橋さん:とにかくレスポンスが早いんですよ。うちのオフィスはワンフロア制を敷いているので、スタッフがどんな状況にあるかを掴みやすいんです。相談もすぐにできますし、コミュニケーションが煩雑になることも少ない。

和田さん:しかも社内スタッフは全員正社員なので、無駄な外注コストを抑えながらスピード感のある仕事ができるんです。また、企画、撮影準備、撮影、編集というフローに対して社内の全部署が関わっていくことで、「層の厚い制作体制が取れる」ことも大きな利点です。

――スピード感だけでなく、コストカットや品質向上も両立できるというのは驚きです。

土屋さん:現場に出てしまえば、スタッフが内部だろうと外部だろうと役割は変わりません。だからこそ、監督も助手もカメラマンも社内でまかなえるのはメリットだと思います。

年間200本の映像制作に携わる。それが若手の血肉になっている

――若手の台頭も企業成長の鍵だと思うのですが、その点について感じることはありますか?

土屋さん:それでいうと、いまのエルロイはすごく人が育っていると思います。それはCMもやるし、ドキュメンタリーもやるし、ドラマもやるっている多様な経験を積める体制を構築できている点が大きいんじゃないですかね。

和田さん:ジャンル別による部署分けなどもしていないので、自然と横断的な知識やスキルが身に付くようになっているんです。他にも、たとえば「エルロイアカデミー」という座学でさまざまなことを学ぶ教育プログラムを用意していたり、映画鑑賞や参考書代を経費で落とせるようになっていたりします。

――育成制度も充実させてきたわけですね。

和田さん:でも、6年やって思うのは、その部分メインで人が育っているわけではなくて、いかに多く「実践」と「育成」を接続する場を用意できたか、が大事だったのかなと。ポスプロに就職したら3年はアシスタントをやらなければならないところですが、実力があれば社歴や年齢に関係なく抜擢する。そういうカルチャーや場自体が社員を育てているのかなと感じます。

高橋さん:実際、テレビドラマ「相棒」のシーズン14、16のオープニング映像を弊社で作らせてもらったのですが、それぞれ新卒入社し2年目を迎えたばかりの社員がメインエディターを務めていますね。

――新人や若手も、現場経験を積むチャンスが豊富にあり、それが成長の要になっていると。

土屋さん:和田もよく言っているんですけれど、作り続けることが大事だなと。僕と高橋はエルロイに入社するまではフリーで長くやってきたんですけれど、そういう環境だと次第に携わる案件を選り好みするようになっちゃうんですよね。予算がないとか、自分の興味をそそられないものはやらないっていう選択をすぐにしてしまう。でも、それって自分で成長機会を失っていることでもあると思うんですよ。それを最近はすごく実感するようになっていて。

和田さん:最近、僕はエルロイのことを「創造の孵化器」だと社員に言っているんです。エルロイというモノづくりに適正化された場で「コンテンツが生まれる」「人が育っていく」という2つの意味を込めて。数えてみると年間で200本近く制作していて、企画段階でボツになったものを含めると300本くらいある。これだけの本数を個人で請けることって絶対にできないじゃないですか。そうした、とにかくたくさんのプロジェクトに触れる機会があることも、一気に成長できる要因かなと思っています。

土屋さん:制作に携わる回数が増えれば増えるほどいろんな人と関わることが多くなるから、人間としても成長できるんじゃないですかね。

和田さん:本当に高橋なんかはエグいくらいの本数を撮ってますから。

高橋さん:「多作であれ」が僕らの合言葉なんですが、単に本数だけでなく、いろんなジャンルをやらせてもらえる。だから、やっぱり楽しいよ(笑)。

 

「現場の革新」を最優先に考える、クリエイティブ経営論

――これからエルロイは設立10年に向けてさまざまなことに取り組んでいくと思うのですが、何か考えていることはありますか?

和田さん:いまのエルロイは映像プロダクションの2.0的な位置をやや確立しつつあると思うんです。だとしたら、その3.0を目指したいなと。おそらくこれから映像制作の現場にもイノベーションが起きると思うんです。

――どのような革新が想定されますか?

高橋さん:編集ソフトにAIが導入されて編集が半分自動化されたり、カメラのピントを現場で気にしなくて良くなったり、制作フローが一気に簡略化されたり。技術革新は間違いなく起こるので、僕らが真っ先に取り入れたいという思いはありますね。

和田さん:すでに映像業界には、クラウドソーシングのようなプラットフォームの革新や、VRのようなハードの革新、制作会社がクライアントと直接仕事をする業界構造の革新などいろいろな風が吹いています。そうした中でエルロイは、あえて「映像制作現場」に革新をもたらす会社であり続けたいですと思っています。

――まず現場の革新が重要だとお考えなんですね。

和田さん:いわゆる受託制作の現場は、さまざまな課題に直面しています。そうした壁にぶつかった時に、「業界構造そのものがダメなんだ」と叫ぶよりも、まず経営課題として捉えて解決策を模索した方が、スタッフも制作物もさらに良いものになっていくはずなんです。

土屋さん:革新が必要なことは、本当に山ほどあるんですよ。ミクロな話でいけば、PMの生産性とか業務負担を改善するために1名でやっていた作業を2名にすべきか、もしくは新しいシステムの導入などテクノロジーで解決するのか。もしツールが必要なのであれば、現場発のニーズに対して経営層が開発コストをスピーディに決済できる仕組みも求められます。

和田さん:我々はすでにそうした「現場のための革新」にどんどん切り込んでいて、実際に労務・顧客・売上データなどを一元管理できる制作システムを新規導入しました。他にも制作の作業は労力のかかる仕事が多いのですが、外注頼りでは「スキルの空洞化」につながってしまう。そこで自社内で無理なく対応できる新体制づくりを推し進めていて、一定の成果が出始めています。こうした視点こそ、クリエイティブ業界に求められている経営方針なのかなと。

高橋さん:いま、サッカー界では、「進化したモダンフットボールでは、攻撃しかできないMFも、守備しかできないMFも、居場所をなくしつつある」と言われているんですが、映像制作も同じだなと感じていて。エルロイの場合、プロデューサーがディレクターも兼務していたり、僕で言えばカメラマンとカラコレを兼務していたり。一人ひとりが複数のポジションを担っていることもイノベーションのひとつの形かもしれないですね。

人生における仕事の価値を考えていきたい

――お話しを伺っていると、次に向けた革新がすでにいくつも始まっている印象を受けますが、特に力を入れているテーマなどはあるのでしょうか?

和田さん:今の世相だと、やっぱり働き方改革的なところかな……?

土屋さん:えっ、いまさら(笑)? でも、うちはけっこういろんなことに取り組んでいると思うけどね。映像業界ってやりがい搾取的な一面が少なからずあるんですけれど、これからの時代はもう違うなと。やっぱり働きやすい環境を会社が用意すべきだし、ひとりでも多くの人が活躍できるようにしなきゃいけない。でないと、この業界自体がなくなってしまうと思うので。

和田さん:かなり減ってきていますが、業界を見渡すと未だに「徹夜してナンボ」の世界観が根強く残っている印象を受けます。そうした前時代的な感覚を排除して、きちんと週休2日で働ける体制を整備していくことが経営者の役割なのかなと思うんです。もちろん、その実現には代理店やクライアントの理解と協力が欠かせませんから、お願いしていくしかないですよね。

――エルロイの働き方や制作スタイルへの理解が深まれば、業界全体にも少しずつ影響を与えていきそうです。

土屋さん:こういう変化って、エルロイみたいな後発のコンパクトな会社からでないと始められないのかもしれないですね。僕らは「業界初」と呼ばれるようなモノや仕組みはできるかぎりテストして、いいなと思えたらどんどん取り入れるタイプなので。

高橋さん:はじめの方で土屋も言っていましたが、映像制作ってとにかく楽しすぎる。なのに、現場の負担が大きいばかりに途中で嫌いになってしまう、というのがいちばん最悪なパターンで。だからこそ、エルロイにいるスタッフ一人ひとりに関しては、当事者意識を持って制作を楽しめるようにしていきたいなって思うんです。まだ経験が浅い子たちでも「自分がいないと完成しないんだ」と思える状況にしていくのが目標ですね。

和田さん:それは本当に思います。スタッフがそれぞれの仕事を楽しんだ上で、幸せな人生を歩んで欲しい。いまは部長面談を3ヶ月に一度、社長面談を6ヶ月に一度のペースで行っているのですが、ただ仕事の話をするのではなく、人生においてどういう位置づけで働いていくかを話し合うようにしているんです。

――仕事やキャリアの話だけでなく、人生観についても話しあう、と?

和田さん:例えば、同条件で働いている人でも家族の有無によって働き方や考え方って大きく変わるじゃないですか。だから、人生観と仕事観は切っても切り離せません。これからの時代、企業価値を決める尺度は「そこにいる社員が幸せかどうか」に必ず変わっていきます。その尺度で言えば、映像制作に携わる企業はかなり厳しい状況でしょう。エルロイはまだまだゲームチェンジャーではないかもしれませんが、業界の1歩先を行く企業でありたいと思っています。

PROFILE

株式会社エルロイ

企画、制作、撮影、編集、CGなどの映像制作にかかわるすべてをワンストップで提供している映像スペシャリスト集団。社名の由来は『L.A.コンフィデンシャル』などで知られる米国文学界の魔犬ジェイムズ・エルロイから。独創的かつ圧倒的な描写ができる会社でありたいとして名付けられた。

http://www.ellroy.jp/

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