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エンターテイメントを進化させる -Unityを用いてライブ体験の拡張に挑戦し続けるエンターテイメント集団LATEGRA

LATEGRA

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普通、ライブと聞けばアーティストのライブコンサートを思い浮かべるが、このライブの熱狂を新たな技術と表現で作り出すことに挑戦する企業があるーー。 株式会社LATEGRA(以下ラテグラ)だ。ニコニコ超会議で上演されたバーチャルキャラクターと歌舞伎俳優が演じる新しい歌舞伎や、国内外での人気バーチャルキャラクターのリアルタイムモーションキャプチャーステージの制作、バーチャルYouTuberなど、リアルとバーチャルを融合させながら、ライブエンターテイメントの最前線で新たな表現に挑戦している。 そんなラテグラの表現を支えるのは、ゲームエンジンのUnityだ。 ラテグラで、Unityを武器にエンターテイントをアップデートしようと試みるテクニカルアーティスト 中村直樹さん(写真・中央)、テクニカルプロデューサー 渡辺幸範さん(同・左)に迫った。聞き手を務めたのは、Unityエヴァンジェリスト 池和田有輔さん(同・右)だ。 [Sponsored by 株式会社ラテグラ]


ラテグラ(旧ラテンセイル&ライブグラフィックス)は、「LIVE ENTERTAINMENTを世界に発信し感動と共感の輪を広げ、今日より明日をもっと楽しくする」をミッションに、VR・ARをはじめ、さまざまなテクノロジーを融合し、新しい体験を世界に発信することに取り組んでいる。

さまざまなエンタメが登場する中で、ラテグラがこだわるのは「ライブエンターテイメント」だ。わざわざ会場まで足を運び、待ち時間すらも心躍る体験になる。日常では味わえない、沸き上がるような感動を届けられるのがライブエンタメであり、ライブでの体験が明日を生きる活力になるはず。そんな想いを込めながら、一つ一つの案件を手掛けている。
制作事例には、国内外でのバーチャルキャラクターライブやニコニコ超会議で上演された「超歌舞伎」、ニコニコ超パーティーのステージ制作演出とネット配信向けのAR制作演出、楽天 ショップ・オブ・ザ・イヤーのAR演出、動画配信サイトbilibiliやYouTube等で配信されているバーチャルYouTuber DDにも取り組んでいる。AR・VRを駆使しながら、ライブエンターテイメントの最先端に挑戦する制作が多いのが特徴だ。

そんなラテグラでテクニカル部分を担当し、さまざまな案件に取り組んでいるのが、テクニカルアーティストの中村直樹さん、テクニカルプロデューサーの渡辺幸範さん。お二人のUnityを用いたものづくりに迫るのは、Unityエヴァンジェリスト 池和田有輔さん。
ラテグラに入社後、主に「Unity」を活用したキャラクターコンテンツ開発やAR演出制作を担当してきた中村直樹さんは、2018年5月に開催された「Unite Tokyo 2018」に登壇。ゲーム以外のエンターテインメント、特にラテグラが得意とするライブエンターテイメントの領域でのUnity活用は事例が少なく、ラテグラに声がかかった。対談は、「Unite Tokyo 2018」に関するトピックから始まった。

 

「Unite Tokyo 2018」登壇を終えて。アンケートで94%が満足と回答した“エンターテイメント性あふれるセッション”とは

池和田さん:Unite Tokyo 2018の出演、おつかれさまでした。200人しか入らない会場に400人も詰めかけて、かなり盛況でしたね。

中村さん:ありがたいことに多くの人が講演に足を運んでくれました。ゲーム以外の分野でのUnity活用事例をお話しましたが、ライブエンターテイメントならではのUnityの使い方を面白がっていただけたようでした。

池和田さん:Unite Tokyo 2018で実施された60以上の講演の中で「最も良かった講演」の第2位に選ばれていましたよ。聴講者アンケートでは、94%の方が「満足」と答えていましたし、機能の組み合わせや、ハイクオリティなUnityの使い方に対する驚きの声がアンケートで寄せられていましたよ。

中村さん:ラテグラのUnity活用の集大成を発表できたことが、そういったコメントにつながったのかなと。

池和田さん:私もプレゼンを見ていて驚いたのが、発表資料をUnityで作っていたことでした。Unity社内のメンバーがUnityでプレゼンを作ることはありましたが、外部で同じことをしている方には初めて会いました(笑)。

中村さん:最初はパワーポイントで作ろうと思っていたのですが、たとえば氷のシェーダーを紹介する時にUnityで表示させたほうが伝わりやすいと思ったんです。そこから発想を膨らませ、どんな構成と演出で発表すれば会場の人が面白がってくれるのかを考えて、プレゼンを組み立てていきました。

池和田さん:ラテグラさんがゲーム制作以外にUnityを活用しているからこそ、発想の転換があったように感じました。ここ数年のUnite Tokyoを見ていると、変化が起きている印象があります。今までのUnityは、Unityの性能を引き上げるエンジニアが重宝されてきました。Unite Tokyoでも2年ほど前まではUnityの新機能紹介や最適化のための方法など、実務に根差した開発のためのセッションが好評でした。でも今年はラテグラさんを筆頭に、クリエイティビティの高いUnityの使い方が発表されていた。ツールを使う人たちも変化しているように感じています。

 

「Unite Tokyo 2018」に登壇する中村氏

「Unityだから実現できた」バーチャルキャラクターの魅力を最大化させるラテグラの表現力

池和田さん:ここからは、ラテグラでUnityをどのように活用し、最先端のエンターテインメントに挑戦しているかを教えてください。リアルタイムでキャラクターを動かすものが多いですよね。渡辺さんはテクニカルプロデューサーとして、なぜUnityを採用しているんでしょうか。

渡辺さん:私は以前テレビ局で働いていたのですが、そこでARを用いる際には、生放送用のリアルタイムエンジンを使っていました。でもこれは、リアルの情報を補完するためのAR活用でしかないんです。たとえば、選挙速報などの番組に情報を付け足すものと言えばわかりやすいでしょうか。

池和田さん:生放送の番組で、よく見かけますね。

渡辺さん:そうです。ラテグラではバーチャルキャラクターをARで表現するプロジェクトを多く担当してきました。お客さんに感動してもらうためには、いきいきとしたキャラクターを動かす必要があります。生放送用のリアルタイムエンジンでは難しく、注目したのがUnityでした。

池和田さん:どこに魅力を感じたのでしょうか?

渡辺さん:Unityがゲームキャラクターを動かすことに向いていることは、大前提としてありました。あと、コミュニティの強さを感じますね。わからないことがあった時に調べれば、過去に実践した人がいる、豊富なアセットストアもある。企業に納品するようなソフトウェアではなく、コミュニティがあるからこそソフトウェア自体の進化も早いですよね。

 

ライブ体験の進化を支えるこれからの人物像

中村さん:先ほど「Unite Tokyoではクリエイティビティの高いUnityの使い方が広まりつつある」という話がありました。

池和田さん:これまでUnityはエンジニア、プログラマ用のツールという認識が強かったのですが、最近ではアーティスト、プランナー、ディレクターも使うツールとして認知されつつありますね。そのためにも、なるべくコードを書かずにも作りたいものを作れるソフトウェアという設計思想を大切にしています。

中村さん:直感的に操作できたほうが、クリエイティブによりフォーカスできますよね。

池和田さん:最も大切なのは開発のプロセスではなく、最終的な表現ですしね。新しい表現に挑戦しているラテグラさんは、どんな人と働きたいと考えていますか?

中村さん:「このようなソフトウェアを使える」ではなく、ジャンル問わず、発想力や想像力、問題解決のための思考ができる方ですね。思考だけではなく、どのように表現したり、実現したりできるかまで考えられる人だといいですね。

池和田さん:ラテグラさんは、Unityの基本に忠実で「何をやるか」をベースにUnityを選んでくれている印象があるんです。セッションを聞く中でも思ったのですが、アイデアに溢れることをやっているなと。

中村さん:ありがとうございます。実現したい表現があり、それを実現するツールとしてUnityを捉えています。僕自身もいろんな作品を見たり、普段の興味関心と異なる本を呼んだりして、発想のためのインプットになることを心がけています。

池和田さん:表現の前にツールがあってはいけないですよね。ツールありきでなにかをするのではなく、「この表現に挑戦したい」という思いがあり、それに最適なツールを選ぶと。ラテグラさんでは表現に合うツールとしてUnityを選んでもらいましたが、僕自身も相談を受けた時に、Unityが適切な手段ではないときは、別のツールを紹介することもあるんですよ。

 

これからのラテグラの挑戦 演者の「表情」をどれだけ精緻に表現できるか

池和田さん:ラテグラさんはこれまでも新たなクリエイティブの開拓に取り組んできたと思うのですが、今後どのようなことに挑戦していきますか?

中村さん:昨年末から、バーチャルYouTuber DDに取り組んでいます。その他の案件もそうですが、強い関心があるのは、私たちが手がける案件の要であるキャラクターの表情なんです。いきいきとしたキャラクターの表情が作れれば、お客さんをもっと感動させられるはずです。DDの際は、タブレットに表情をズラッと並ばせ、それをタッチすることで表情を変えていました。しかし、表情のパターンを用意するだけでは、自然な表情を作ることが難しいんです。

池和田さん:なるほど。Unite Tokyo 2018でもアニメーション・キャラクターの操作を行ってましたよね。

中村さん:Unite Tokyo 2018の講演では、Xboxコントローラーで表情の制御を行っていました。具体的には目、指、喜怒哀楽を1つのコントローラーで制御しています。コントローラーを使うと、トリガーの押し込みの深さで目の開き具合を調整したりと、絶妙な顔の表現ができるんです。指はジョイスティックで操作しているのですが胸と手の距離、手を振る速度に応じて指のポーズが変わるなど自動的な制御も混ぜています。でも、この仕組みの場合は僕以外の人が同じことをできるかというと、難しいですよね。

池和田さん:属人的になってしまうと。

中村さん:それだけではありません。演者は表情だけではなく、指先まで演技を行います。その動きを隅々までリアルタイムで反映させることが難しいんですよ。今よりもっと良い方法を探し続けていますね。

池和田さん:表情の場合、フェーシャルモーションキャプチャではダメなのでしょうか?

中村さん:アニメーション・キャラクターの場合は、「><」この目のように人間ができない表情が求められるケースもあるので、フェーシャルモーションキャプチャがすべてを解決するわけではありません

池和田さん:解決のためのアプローチは見つかりましたか?

中村さん:今までは、表情の「表」をどう動かすかを考えてきましたが、今考えているのが、喜怒哀楽などの「情」の部分に数値を持たせて制御をするアプローチです。感情の数値の具合によって「表」が動く状態にする方法も面白いのではないかなと思っています。

渡辺さん:テクノロジーが進化していけば、AIが文脈を読み解き、自動で表情を生成する未来も訪れるのではないでしょうか。その場合、僕らが次に挑戦するべきことはなにかを、問い直す必要が出てきそうですよね(笑)。

池和田さん:より感情の発生の仕方に乗っ取り、表情を作っていくわけですね。渡辺さんは今後挑戦していきたい表現はありますか?

渡辺さん:これまでバーチャルキャラクターのライブ演出を担当してきて感じているのが、エンターテインメントは常にアップデートしていく必要があることです。少し前まではARの技術を使い、ステージ上にバーチャルキャラクターが立つことに対して、感動してくれる方が多かったんです。でも、今はそれに驚く方はほとんどいません。

池和田さん:視聴者にとっては、バーチャルキャラクターがステージに登場することは、当たり前になってしまったと。

渡辺さん:そうです。私たちが考えるべきなのは、次に何ができるのか?ですね。予算も時間も限られているなかで、妥協せずに何に挑戦できるのか。これまでのキャラクターライブはリアルな世界にバーチャルキャラクターが登場する内容だったのですが、次は共演するリアルな世界の人間をバーチャルキャラクターの世界に送るといった演出ができると、面白そうですよね。

PROFILE

中村直樹

大学卒業後、CGプロダクションに就職。リアルタイム系エフェクト制作業務を中心にスマホ、コンシューマーゲーム、テレビやライブなど多様な現場に携わる。ラテンセイル&ライブグラフィックスでは主に「Unity」を活用したキャラクターコンテンツ開発やAR演出制作を担当。デザインとプログラミングの合わせ技で現場オペレーションを行うテクニカルアーティスト。


    PROFILE

    渡辺 幸範

    株式会社IMAGICAにて映像エディター、ビデオエンジニア、ARテクニカルディレクターをへて2014年AR、VR技術に特化した株式会社Livegraphicsを設立。現在はラテンセイル&ライブグラフィックスにてテクニカルプロデューサーとしてAR、VR技術を駆使した様々なデジタルコンテンツを制作。


      PROFILE

      池和田 有輔

      フリーランスとしてWEB制作・広告制作のキャリアを経て、2013年からRépublique開発チーム(Camouflaj, LLC.)に参加。ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社に入社後はエバンジェリストとしてUnityの伝道活動に携わりつつ、Made with Unity日本版の編集長を務める。


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