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「デザインの知見は事業会社でこそ活きる」。広告代理店出身のクリエイターがビズリーチに転職した理由

株式会社ビズリーチ

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IT企業を中心にデザインシンキングの考えが浸透し始めている。例えば、即戦力人材向けの転職サイト「ビズリーチ」など、HRテック領域を中心にさまざまなサービスを運営する株式会社ビズリーチ。ビジネス上の課題解決にデザインドリブンで取り組んでいけるように組織を再編し、2018年8月に経営直下にデザイン本部を設置した。こうしたビジネスとデザインの距離を近づける動きは今後トレンドになるだろう。今回BAUSでは、広告代理店でキャリアを積み、ビズリーチに入社した遠嶋伸昭さん(写真・左)、岩瀬雄一郎さん(同・右)、李元杰さん(同・中央)の3名のデザイナーに話を伺った。デザインを通じて社会に働きかけたいこと、事業会社でデザイナーとして働くことのメリット、そして求められる能力は何なのだろうか? [Sponsored by ビズリーチ]


3人はなぜビズリーチを選んだのか

ーー遠嶋さんは制作会社で、岩瀬さんと李さんは広告代理店でエンジニア、アートディレクターとして活躍されていたと伺いました。それぞれクリエイティブ職でのキャリアを積んできたみなさんが、なぜ事業会社であるビズリーチに入社をされたのでしょうか?

遠嶋さん:前職では制作会社のwebデザイナーとして6年間働いていました。アートディレクションをしていたのですが、働いているうちにもっとビジネスの上流から関わりたいという思いが強くなりました。広告代理店と一緒に制作の上流からのディレクションを経験していく中で、もっと深く踏み込みたいと思ったんです。たとえば、「このWebサイトを制作するよりも効果的な施策があるのではないか?」という思いが浮かんだこともありました。とはいえ、制作会社では関わるフェーズが制作からになってしまう。それでは本質的な課題解決にたどり着けないこともあるので、ならば事業会社に入って戦略から関わるべきだろうと考えて転職しました。

岩瀬さん:僕は美術大学の大学院で広告のグラフィックや、企業の長期的ブランディングについて学んだ後、女性向けゲームなどをつくっている事業会社でUI設計などに携わっていました。企業が成長して、テレビCMなどマス広告へ乗り出したのをきっかけに、もう少し深く広告に向き合いたいと考えてデジタルマーケティングの専門会社に転職。アートディレクターとして制作のディレクション、プランニング、進行管理、デジタルマーケティングまでをひと通り経験しました。しかし、事業会社から広告代理店に移ったとき、自分のカウンターパートがエンドユーザーではなく、クライアントになったことに少し違和感を覚えたんです。もちろんエンドユーザーのことは常に意識していましたが、立場上どうしても距離が遠くなってしまった気がして。そして、事業会社にいた方が本質的な解決策を提案できると考えるようになりました。そんなときにビズリーチと出会ったんです。偶然にもコミュニケーションデザイナーを募集していたので、これまでの経験を生かしてやりたいことができると思い、入社を決めました。

ーー事業会社では広告代理店や制作会社とともにプロモーションや広告の制作を行う例も多いと思うのですが、ビズリーチでは自社で行っているのですね。

岩瀬さん:基本的にはそうですね。サービスをどのようにブランディングしていくか、それをどうプロモーション施策に落としていくかの戦略を設計しています。随時増えていくサービスの統一感を持たせるために、事業部全体でコミュニケーションデザインを考えているんです。

ビズリーチで制作している広告制作物の一部。広告代理店や制作会社の力を借りず、自社で戦略から施策まで一貫して対応できるのが強み

李さん:私は中国の大学でコンピューターサイエンスを専攻していたのですが、そのときにデザインに興味を持ち、独学で学ぶことにしました。そして4年生のときにソフトウェアの設計、デザイン、開発までを行うコンサルティング会社を起業。後に日本の広告代理店でシステムエンジニアやUXデザイナーとして働いていました。現在はデザイナーとして、「キャリトレ」という若年層向け転職サービスを担当しています。

遠嶋さん:李さんはデザイナーとして働いていますけど、持っているスキルが幅広いし、ビズリーチの社員の中でもすごくユニークなキャリアを積んできてるんですよ。日本でも起業していたんですよね?

李さん:広告代理店では自分の正しいと思うことがすべて通るわけではなかったので、ならば自分でやろうと思い立ってアプリの開発・運営を行う会社を日本で立ち上げました。もうその組織は解散しているのですが、サービス自体はクローズせず、ビズリーチで働きながら運営を続けています。

 ーーみなさん多様なバックグラウンドをお持ちなんですね。ところで、20188月にデザイン部門を中心とする大きな組織再編があったと伺いました。具体的にはどのような変化があったのでしょうか?

遠嶋さん:会社内のデザイン組織を統括するデザイン本部が設置され、それに紐づく形でブランド戦略、UXデザインなど専門性を高めた部署が再編されました。サービス設計の上流からデザイナーが関わるデザインドリブンな組織になることを目指しています。また、組織のつながりを強化するために、企業全体のコミュニケーション戦略を考える動きも盛り上がっていますね。

岩瀬さん:例えば、僕はコミュニケーションデザイン室とブランド戦略室を兼務しています。コミュニケーションデザイン室ではマーケティングチームと共同で売り上げにコミットし、ブランド戦略室では会社全体のアウトプットの底上げをしています。今後は、さらに幅広くクリエイティブの力を生かせる組織に変わっていく予定です。

 

クリエイターのキャリアの選択肢としての事業会社

ーーデザイン領域とビジネス領域をより近づけたということですね。ビジネスの上流から関われることもそのひとつだと思うのですが、事業会社のデザイナーとして働くことのメリットは何でしょうか?

遠嶋さん:なぜ必要なのか、なぜするのかをゼロベースから議論できるのが個人的に嬉しいです。例えばバナーを制作するにしても、どれだけ効果が出たのかを意識するようになるし、改善していくモチベーションも高まりますよね。数字を見ながらデザインしていくことでマーケティングの知見も溜まりますし、デザイナーとしての視野がかなり広くなったと思います。

岩瀬さん:僕は企業のブランドをつくり上げていくことに参加できるのが楽しいです。サービスの色を自分でつくっていけますし、事業づくりに関わることで会社に貢献できているという実感もある。代理店にいた頃はすでに確立したブランドの文脈でプランニングすることが多かったのですが、今はどこにアプローチするか、どんな方法を選択するかなど、本質的なところから考えれていると思います。

遠嶋さん:岩瀬さんは本当に組織の上流から議論していますよね。最近は、弊社が対象としているハイクラス層にアプローチするために、プロモーションのアウトプットがよりメッセージ性が高く先鋭化されてきたと感じます。

岩瀬さん:ブランドに対する意識が強い会社の中で、それをリードできるのがクリエイティブの役割でもあると思う。例えば数字だけを追いかけていったら「かわいい猫を使って話題を呼べばOK」という方向に流される可能性もあるわけじゃないですか。その方向が間違わないような舵取り役になると思ってます。

李さん: ROI(投資対効果)の目線で考えるようになりました。そのために意識しているのがスピードです。ディティールにこだわりたい気持ちはもちろんありますが、リミットがある中で動かなければならないので、サービス全体として優先順位をつけて動いています。例えば、最もリターンが大きい機能は何なのか、よりマーケットに影響を与えられるUXはどんなものなのかといったことを重視しています。

ーーここ数年、デザインシンキングの流行などからもわかるように、ビジネスにおけるデザインの価値が見直されているように感じます。ビズリーチ社内の組織再編も、そのような流れを受けての変化なのでしょうか?

李さん:ビズリーチはもともとデザインに価値を置いていたと思います。ただ、事業のフェーズとして、デザイン組織を立ち上げる時期ではないという判断だったのでしょう。先ほどお話しした「ROI」は「Return of investiment」。投資のリターンは必ずしもお金に限らないものですし、ブランドもリターンの一種として業務に取り組んでいます。

遠嶋さん:弊社のデザインに対する意識は、李さんの言うようにもともと高くて、その結果が組織再編として現れたのだと思います。デザイナーとしてどんな舵取りができるのか、それが問われている時期だと感じますね。

 

デザインの価値はビジネスやテクノロジーと組み合わさって発揮されるもの

ーーそのような変化のある事業会社の中で、今後はどんな仕事をしていきたいと考えていますか?

岩瀬さん:会社のやりたいことはサービスに現れていますよね。一つは、素晴らしいキャリアを積んできた方々を中心に、日本の雇用流動化を支援することで、日本全体の生産性を底上げすること。そのミッションを実現するために、僕は「想いを形にできるデザイン」を実現していきたいと考えています。データドリブンで世界を導いていくと、どうしても同じような答えにたどり着き、プロダクトの差別化が生まれにくいんです。では、どこで差別化するかを考えると、それは思想に表れると思います。アップルがいまだに世界のトップランナーでいられるのは、ビジョンに共感する人が多いからですよね。ブランドやサービスの思想を、クリエイティブを通じてユーザーにプレゼンテーションしていきたいと思います。

遠嶋さん:岩瀬さんの言うように、転職市場やこれからの時代の働き方にインパクトを与えたいですね。想いを伝えるのは広告だけではないと思うし、もっといろんな表現を模索していきたい。お話ししたように、いま弊社は日本における模範的なデザインドリブンの企業になれるよう、組織づくりを行っていますが、こうした会社のあり方を発信していくことで社会に影響を与えることもできます。

李さん:私はデザインの価値を社会に伝えていきたいです。デザインは、それ単体では課題を解決できないんですよ。デザインのルールを守る人、そのデザインを実現していく人、デザインしたサービスを運用する人がいるからこそ価値が生まれる。企業を通じてそこを伝えていきたい。あとはテクニカルストラテジーの観点からも、ビズリーチができることを考えたいです。
私個人としてはデザインと人工知能がどう関わり社会に影響するのか、中国の企業と共同でコミュニティをつくって、議論を重ねていくつもりです。科学の最先端の動向を知ることは、これからの社会や自分たちの仕事がなすべきことを考えていくことにも通じますから。

ーーデザインとビジネスによってできることをより突き詰めて考えていきたいと。こうした価値観を持つ企業は、デザイナーにとって働きやすい環境だと思います。どんな方がビズリーチで活躍できると思いますか?

岩瀬さん:推進力のある人ですね。やりたいことが明確で、課題感を持って手を挙げられる。それが正しいことだときちんと説明できれば、止める人は社内にはいないので。そういうパワーのある人と働きたいです。

遠嶋さん:「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」というミッションに共感いただける方と働きたいですね。裁量を持たせてもらえる環境なので、なにかしら得意分野があれば、多くの人を巻き込んで進めていきやすいかなと。

李さん:ある分野のスペシャリストは大歓迎ですね。もうひとつあるとすれば、自分のやりたいことを明確化して、実現できる人。テクニカル、ビジネス、デザインのバランスをとってものづくりができる人にとっては働きがいのある環境だと思います。

PROFILE

遠嶋 伸昭

大学卒業後、web制作会社にてwebデザイナーとしてナショナルクライアントのデザインを数多く手がける。後にビズリーチに入社後はコミュニケーションデザイン室にて広告、web、logo、イベント展示など幅広くデザイン、アートディレクションを担当。


    PROFILE

    岩瀬雄一郎

    多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒、同大学院デザイン専攻修士。エンタメコンテンツを提供するITベンチャー企業、デジタルマーケティングの広告代理店を経てビズリーチに入社。現在は、マーケティングやブランディングの担当部署とともに広告などのデザイン、アートディレクションを行っている。


      PROFILE

      李元杰

      上海復旦大学コンピュターサイエンス学科卒、上海交通大学コンピュターサイエンス専攻修士。大学時代ソフトウェアコンサルティング会社を起業、大学院時代ダンススタジオをつくり、そして日本のデジタルエージェンシーを経てビズリーチに入社。現在プロダクトデザインチームのマネジメント、リードデザインを担当している。


        写真・田川優太郎 文・高橋直貴 編集・村上広大

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