FEATURE

暮らすように働くとは? 12SHINJUKUが見据える新時代の働き方

ReBITA inc. × SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd × POOL inc.

記事メイン画像

もはや働く場所と暮らす場所に境界線はいらないのかもしれない。この夏、新宿駅直結の古いオフィスビルが、住まいの機能を持った新しいシェアオフィス「12SHINJUKU(ジュウニシンジュク)」へと生まれ変わった。1〜2人用のデスクから最大約108㎡のミドルオフィスまで、多彩なオフィス空間が用意されているほか、ラウンジやイベントスペース、さらにはキッチン、LDK、畳ルームといった「住」に関わるものも。この場所を通じて、新しい暮らし方や生き方を知るきっかけを作りたいという。この「12SHINJUKU」は、いかにして完成したのだろうか。プロデューサーを務めたリビタの井上聡子さん(左から2番目)、コピーライターの竹田芳幸さん(同・左)、POOLのアートディレクター宮内賢治さん(左から3番目)、そして内装デザインを手がけたSUPPOSE DESIGN OFFICEの谷尻誠さん(同・右から2番目)、吉田愛さん(同・右)を交えて語っていただいた。[Sponsored by 株式会社リビタ]


仕事と暮らしがボーダレスになる。その実感を空間に落とし込むまで

——全員が集まるのはいつぶりですか?

宮内さん:2週間ぶりくらい?

井上さん:グランドオープン以来ですかね。おかげさまで、すでに7〜8割くらい埋まっています。

谷尻さん:それって順調なの?

井上さん:順調と言っていいと思います。入居者の家族もよく遊びに来ていて。ある入居者さんの息子さんは「家より落ち着く」と言っていて。

吉田さん:おお、それはよかった。狙い通りですね。

——これだけのスター揃いのプロジェクトになった「12SHINJUKU」ですが、そもそもスタートはどのようなところからはじまったんですか?

井上さん:新宿にあるビルをリノベーションして事業空間を作りたいという依頼があったのが去年の夏頃。その時点で、働く場に「住まいの要素を入れたい」と考えていて。それでパッと浮かんだのが谷尻さんと吉田さんでした。仕事や暮らしがボーダレスになるなかで、「社食堂」みたいに面白いことをやりたいなと思ったんです。POOLさんとは何度も仕事をしているので、またご一緒したいなと。

——そこからすぐに「12SHINJUKU」の目指すべきビジョンが見えてきたのでしょうか?

谷尻さん:僕は昔から「行為が空間に名前を付ける」とずっと言っていて。オフィスだからオフィスを作るぞとか、住宅だから住宅を作るぞとしなくても、皆がPCを開いて仕事をすればオフィスになるし、食事をすれば食堂になる。そこに明確なボーダーは必要ないと思っていたんです。だから、話をいただいた際も概念的なものはすごく納得がいって。わりとすぐにこうしたらいいんじゃないかというアイデアは浮かんできましたね。

ブレーキを掛けずに。アイデアを前に転がすこと

——これだけのメンバーがプロジェクトを進めると、ともすれば話が散らかり、進むべき方向性を見い出せない事例もありそうです。チームとしてのまとまりを保ちながら、うまく落とし所を見つけられた理由はどこにありますか?

谷尻さん:皆、いい人たちだったからじゃないですか? 打ち合わせがずっと楽しかったですもん。

竹田さん:最初の打ち合わせのときに思ったのは、誰もブレーキをかける人がいないなって。井上さんでさえ、止めることがなかった。皆いろんなことを言う。だから、どうまとめようかなって(笑)。

——嬉しい悲鳴ですね。

谷尻さん:でも、もしブレーキをかける人がいたら、その人にズバっと言っていたと思うんですよ。「つまり、新しいものを作りたくないということですよね?」って(笑)。それが一切起きることがなかった。それと頭のなかで思ったことを1人だけで完結して進めないってことは意識していたかもしれないですね。

——井上さんは舵取りされていていかがでしたか?

井上さん:私としては、自分が利用したいと思えるものを作りたかったんです。「ん?」って思いながら、人に推薦はできないので。皆さんと喧々諤々意見を言い合うなかで、「暮らすこと」と「働くこと」がテーマになって。私は、世界観含めた全体像を、宮内さんと竹田さんはロゴデザインやサイン、コピーなどを考えて。ハードの部分についてはSUPPOSE DESIGN OFFICEチームにお願いして。そこからはスムーズでしたね。

竹田さん:最初、皆でキーワードを並べてコンセプトと呼称を考えた段階でコンセプトイメージはある程度できていったんです。でもそこから「12SHINJUKU」という名称に至るまでに時間がかかりましたね。そもそも最初にコンセプトを聞いたとき、僕は働き方が変わっている今が2010年代と2020年代の差だと考えたんです。それはフリーランスとかコワーキングという話だけではなく、会社自体が変わっていくんじゃないかって。「暮らせるオフィス」をメインにするなら、「衣食住職」ってお寺っぽくていいなとか、ホームとオフィスを組み合わせて「H to O」とか。

谷尻さん:そこに深い思考が介在している感じするよね。

竹田さん:煮詰まって煮詰まって、それで「12SHINJUKU」というフレーズを思い出すんです。皆さん忘れていると思いますが、これ実は最初の打ち合わせで出していた案なんです。

吉田さん:えー! そうなの?

宮内さん:熟成したんだね。

竹田さん:でも、最初は「1st Place」と「2nd Place」を合わせた「12(ジューニ)」という意味でしか使ってなかったんですよ。でも、だんだん八方塞がりになるなかで「自由に(じゆうに)」の意味があることに気づいて。

井上さん:それをロゴデザインと一緒に提案してもらったんですよね。それで、すごくしっくり来たんです。

吉田さん:素敵だと思って社内共有しましたもん。

——ロゴも言われてみれば、目に焼き付いて離れない素敵なデザインです。どんな狙いがあったのでしょうか?

宮内さん:数字のデザインってすごい難題をもらったなと思って。「1st Place」「2nd Place」の境を表現したくて。ただの数字をタイポグラフィで遊んでも面白くない。だから、引っ掛かりをどう作るかが肝でした。特に「12SHINJUKU」は、暮らすと働くの間の空間が重視されているので、そこを可視化することが大事だなと。だから1と2を浮き立たすことができれば、うまくいくかなって。

吉田さん: 1と2が浮き立つっていうのは言われて初めて気づくんだけど、見た人が嬉しくなる感じがするよね。ギリギリのところ攻めているというか。

それぞれの空間から“染み出す”場を作ること

——コンセプトが決まってから場を作るうえでどんなことを心がけましたか?

谷尻さん:違和感をどう作るかを考えましたね。自分たちの思考を超えるものにするためには、“計算できない部分を計算して作る”ことも大切で。だから、あらかじめ決めていたことに加えて、ジャズのセッションのように現場で変えたこともありました。

吉田さん:例えば、そもそもの建物の古さを活かしたエントランス空間を作るために、看板の使い方を意識したり、わざと既成品のメタリックな機材を使ったり。あとは天井を剥がしたときに残っている跡を活かしてテクスチャ感を演出して、そこにあえてラグジュアリーなアイテムを置いてみたり、真鍮を用いたすごく大きな照明を用意したりもして。相反するものを掛け合わせることで、ナイスなミスマッチ感を出しました。思いがけなさを許容していたよね。

宮内さん:12月の段階でCGを見せてもらったのである程度のイメージは頭にあったのですが、あらためて現場に足を運んでみると迫力が違いましたね。

——どんなふうに利用してもらいたいですか?

谷尻さん:オフィスのタガが外れてほしいですね。これまでって仕事の効率性ばかりを追い求めていたわけじゃないですか。でも、「働く」のなかには休んだり、ご飯を食べたりする時間もあるわけだし。

吉田さん:働く場所を共有するだけでなく、リビングでご飯を一緒に食べることで生まれる関係性もあると思います。

関連記事

関連記事