FEATURE

誰もやってないことをやる。だから面白い。【前編】

Media Concierge Inc. × 自由廊

記事メイン画像

独自性の高い企画やディレクションで、アンビエント領域の広告コミュニケーションを切り拓いてきた「Media Concierge Inc.」。「イタズラ好きなんです。だから多くの人を驚かせたい」。こんな風に話す同社代表の大谷昭徳さん(写真・左)の扱うフィールドは多岐にわたり、なるほど記憶に残るものが多い。こんな話を受け、「自由廊」のJIROさん(同・右)からは、「造形物に関してはイメージできるものは作れる。作ろうと苦心します(笑)」。特殊メイクや造形制作に長年携わる彼は、業界の第一人者でもある。ふたりは出会って10数年。常識では考えづらいオファーをそれぞれの領域で形にし、数々のプロジェクトで世間を驚かせてきた。インタビュー前編では、ワンアンドオンリーなクリエイティビティ、そのこだわりについて聞いた。


——話題性のある広告を数多く手がけるMedia Concierge Inc.。本当にいろんな場所で展開していますよね。

大谷さん:絶対に使えないと言われる場所、貸し出しをしていない場所を使って、みなが驚くような仕掛けを作りたい。こんな思いが強い会社なので、誰もやってないことをやり遂げるために、日々苦心しています(笑)。言葉を変えるなら、破天荒マーケティング。ユーザー視点の“楽しい”を追求してますね。例えばドレッドヘアになったモヤイ像とか、最近だとイソジンを持ったゴジラとか。ハチ公前で、裸の中村俊輔に一瞬でユニフォームを着せるという企画をやったこともあります。今では当たり前のように、パブリシティでメディア効果「××円」と言われるようになりましたが、この広告は当時その走りでした。ビジネスの視点、PR効果でいうと、メディア換算費で90倍ほどあったと聞いています。ユーザーもクライアントも僕ら制作チームも、みながハッピーになれたら冥利に尽きます。

 

——普通では借りられないような場所、そしてその場所に見合うような「圧倒的なサイズ感」。具体的にどのようにして実現に向け、動くのでしょうか?

大谷さん:実は裏技みたいなものはなくて、役所であれデベロッパーであれ、真正面からぶつかっていっています。大抵の場合、最初は駄目と言われるけれど、粘り強く話をして、「別の切り口で何とかできないか」という風に交渉します。クライアントさんに対しても、同じ。会社の方針として「ゼロ回答ゼロ運動」を掲げているので、要望に対して「できません」と即答することはまずありません。シンプルで分かりやすく、その商品が持っているUSPやベネフィットを伝えるために、とにかく実現可能性を探るわけです。

JIROさん:僕らは僕らで、常にアイデアに対してアイデアで応えられる準備をしていて。常識では考えづらいオファーであるほど、燃えるっていう(笑)

——お二人の仕事からは、ワンアイデアで一点突破して貫き通す力強さを感じます。JIROさんの作品も、ディティールに拘れば拘るほどお金や時間がかかると思うのですが、驚くようなクオリティで表現していますよね。

JIROさん:100で受けた仕事は120で返す、というのを基本的に全社員に伝えていて。その120が提供できるアイデアなのか、作品のクオリティなのかは場合によるけれど、常に新しいものを生みだしたいと思ってますね。大谷さんと仕事するようになって、アナログ・デジタルという枠を超え、造形的なアイデアを最適な形で表現する面白さに気づきました。

大谷さん:JIROは1秒でフィジビリティの判断ができるから、すごいんですよ。この前、ディズニーの仕事で”ラプンツェルの髪の毛で作ったブランコ”を作ったとき、まずJIROに「金髪のウイッグで21m分集められる?」って相談したら「無理ですね」って即答されて。でも金色の糸で、似せたものなら作れますよという提案をしてくれたんです。一事が万事、こんな調子。特殊メイクという職業欄を軽く飛び越え、美容業界やプロレス業界、映画やテレビなど、さまざまな分野に踏み込んでいるからこそ、経験値も超一流。頼りにしてます。

JIROさん:褒めますね(笑)。ディズニーの仕事でいうと、まず材料として揃うか揃わないかというのもありますが、そもそもウイッグだとナイロンの毛だったら絡むんじゃないかと思って。今までいろいろな材料を扱ってきた経験から、「これは作れる」ってイメージできたんです。

大谷さん:金髪でブランコ作るって一見、JIROの仕事とは全然関係なさそうだけれど、彼はなんでもできる。もう嫌なんでしょ、特殊メイクって言われるの。

JIROさん:特殊メイクって、いわゆる造形屋さんと呼ばれる人たちが使わない材料も含めた色んな素材を扱っていて、その知識があってできる造形制作もありますからね。

——そういう意味では、世の中の職種としては定義付けしづらさそうです。

大谷さん:発注者によって見え方が変わりますからね。JIROの昔からの知り合いは、特殊メイクで知っているし、カップヌードルCMの7SAMURAIの鎧の制作で知り合った人は、衣装屋さんだと思っているかもしれない。僕も古い付き合いの人は「場所探しの大谷さん」と言われてるし、最近関わっている人は、企画から全部、交渉や制作までやるMedia Concierge Inc.という見方をしてるはず。

JIROさん:これからの時代、よりいっそう、境界線を越えたものづくりが求められてる気がします。さらにもう一歩、踏み出しましょう。

PROFILE

株式会社メディアコンシェルジュ(Media Concierge Inc.)

2001年設立。カンヌ国際広告祭金賞をはじめとする、世界中の広告賞の受賞実績を持つ。OOHやアンビエントなど、既存の広告媒体以外の領域を中心とした広告の企画やディレクションを行っている。

http://mediaconcierge.blogspot.jp/

    PROFILE

    自由廊

    2002年設立。特殊メイクや造形制作で独自に培った高い技術力と発想力を武器に、映像制作以外の業界も含めた幅広い分野でアートワークを行っている。2008年には特殊メイクスクールであるAmazing School JURも設立。

    http://jiyuro.net/

      関連記事:新しい表現に挑戦したい。だからチームで動く。【後編】

      関連記事

      関連記事