FEATURE

エイベックスに聞く、「エンタテインメントの現在地」

エイベックス・エンタテインメント株式会社

記事メイン画像

1988年の創業以来、常識にとらわれない発想で事業を推進し、エンタテインメント業界に新風を吹き込んできたエイベックス・グループ。「誰かの心を動かしたい」。この想いは、マンションの一室でレコード卸販売業をはじめた創業当時から変わらない。音楽、エンタテインメントを取り巻く市場環境が変化する中、次のヒットコンテンツの創出に向け、同社が打ちだす”一手”とは?  「BAUSさん、エイベックスのHowを使ってスターを生み出しましょう」。こんな風に話す、「エイベックス・エンタテインメント」レーベル事業本部長・執行役員の猪野丈也さんに”エンタテインメントの現在地”について聞いた。


ーー音楽・映像コンテンツ、「a-nation」に代表されるフェスやライヴ。アニメコンテンツやデジタル領域など、エンタテインメントを軸とし、多角的に事業展開している印象です。エイベックス流のものづくりについて聞かせてください。

エイベックスは創業以来、作り手の視点だけでなく、受け手の視点をもち、さまざまなエンタテインメントを送り出してきました。その”代表格”が音楽なのです。レコード会社のイメージが強いかもしれませんが、近年は「音楽」「デジタル」「アニメ」、この3つの領域を「成長市場」と位置づけ、ヒット曲だけに依存しない収益性の強化と新たなヒット創出に向けた取り組みに尽力中です。例えばアニメ。『おそ松さん』や『ユーリ!!! on ICE』は、エイベックス・ピクチャーズが手がけていて、アニメ版360度ビジネスを展開中です。我々レーベルでいうと、「聴くもの」だった音楽が「体感するもの」になってきている時代状況をふまえ、多角的かつ立体的なエンタテインメントとして何ができるか、世に提案している最中にあります。

 

ーー聞けば、今年4月に組織改編したそう。エイベックス・ミュージック・クリエイティヴとエイベックス・ライヴ・クリエイティヴが合併し、エイベックス・エンタテインメントが誕生。猪野さんは同社のレーベル事業本部長ですが、音楽ビジネスを中心とした会社 × ライヴを創造する会社。この合併が意味することは何でしょう?

レコード会社”だけ”もライヴ制作会社”だけ”もなくなりました。例えば、レコード会社のデザイナーであれば、これまでは良いジャケットをデザインすることが主な仕事でした。でも、この人材の本質は「デザインできること」なんです。ところが、レコード会社”だけ”の括りだと、その本質を制限してしまう面もあります。これからは、衣装やグッズ、もしかしたらセットのデザインまでしてもらいたいですし、今後は”すべきこと”だと思っています。本質を深く見つめ直すと、仕事の幅が自ずと拡張されます。これは個人の話ですが、会社も同じです。「音源を売る」とか「チケットを売る」というのは実は本質ではなく、ビジネスの出口。もちろん、それも大切ですが、能力としての本質を見つめ直すと、その中のひとつが「音楽ビジネスを拡大解釈できる会社」であり、それを通じた「音楽を中心とした芸術・文化の向上」だったんです。

ーーエイベックスの強みはどんなところにあると思いますか?

多角的なインフラとHowを持っていることでしょうね。音源や映像、ライヴなどのコンテンツをクリエイトしたりプロデュースしたりする力と、宣伝や販売など広げ方をプラニングするアウトプット手腕、その過程を通じてさまざまな才能を引き出す力だと思います。創業以来、29年に亘ってひとつひとつ積み重ねてきた経験は、エイベックスの財産ですし血肉になっています。そして何よりも、従来の法則や常識にとらわれず、新しい施策や発想を打ち出しつづけるところにエイベックスらしさがあるように思います。“業界の常識はエイベックスの非常識”ですから。

 

ーーBAUS オフィシャルパートナーとして参画くださり、ありがとうございます。私たちのどんなところに可能性を感じていただけましたか?

エイベックスは、音楽面での才能を発掘し、アーティストを育て、共に成長していけるプロフェッショナル集団だと思っています。当たり前にそうでないとなりませんが(笑)。でも実は、本質的なことをいうと、この能力とはつまり、さまざまなクリエイターに提供できる「目利き」と「ビジネススキーム」というHowにあると思っています。音楽だけにとどまらず、テクノロジーのハックやビジュアル制作などを含めて。 絵画でいえば画商ですね。まだまだ音楽中心ではありますが、表に立つアーティストだけでなく、裏方のクリエイターが持っている無形の才能を、いろいろな形にして多くの人に伝えることも得意にしてきました。その対象は、映像作家をはじめ、コレオグラファーやWEBプランナーまで多岐にわたります。

BAUSさんと目指すのは、世に埋もれている幅広いジャンルの才能に出会って、一緒に次世代のスタークリエイターを生み出すこと。これは、登録される皆さん、BAUSさん、エイベックスと三者全員にとって嬉しい、そして、将来性のある目標だと思ってます。例えば、2002年にスタートした野外フェス「a-nation」は、これまで延べ550万人以上を動員していますが、その現場だけでも多くの才能が活躍できる場と注目度があります。また、レコードレーベルほど、映像をつくっている会社もそうそうないでしょうし、そのインフラもアーティストだけでなくクリエイターが活躍できるフィールドとして考えていければと思っています。

ーー具体的にはBAUS上のクリエイターと、どのようにつながりましょう? その構想をお聞かせください。

すごく大切にしたいのは、自社のメリットだけを重要視しない発注だと思ってます。BAUSの仕組みが、素晴らしくて怖い点が2つあります。1つは「発注の透明化」。掲載サイトという仕組みによって、発注から作品完成までの制作プロセスが、これまで以上に可視化されます。もう1つは、それによって生まれる結果に対して、クリエイターが発注者を評価するという意味での「発注の民主化」。クライアントという側面を持つエイベックスが必ずしも社会的強者ではなく、クリエイターの皆さんから評価される側面があるわけです。例えばグルメサイトでは、飲食店だけでなくレビュアーも評価されますよね。それと似たような構造で、BAUS上ではクリエイターだけでなく、BAUSを利用するクライアント、つまり発注者も評価されます。

それらを重々ふまえ、まずは、世界的評価の高い映像チーム「BRDG」と、「2nd Function (エイベックス社内のトップクリエイターを集めたクリエイティヴチーム)」との共同プロジェクトのローンチを考えております。BAUSの参加クリエイターの方々に、どのようにモチベーションを持ってもらうのか? 完成する作品に、どのように注目を集めるのか? いま、私たちはその方策を練っている最中にあります。同プロジェクトの詳細については追って、BAUS上でお伝えしますね。

すでに述べてきたとおり、エイベックスには、あらゆるクリエイターに提供可能な「目利き」と「ビジネススキーム」というHowがあります。BAUSさん、クリエイターの皆さんには、私たちへの新しい提案にも期待させてください。エイベックスと一緒に、エンタテインメントの”次”と”続き”を作りましょう。

PROFILE

エイベックス・エンタテインメント株式会社

2017年4月、エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社と、エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ株式会社の合併会社。誕生。音楽コンテンツの企画・制作・販売・配信、音楽サイト「mu-mo」、ECサイト「mu-moショップ」の運営のほか、音楽から派生する商品企画、他企業・他団体とのアライアンスによる新規ビジネスを展開。また、社内外のアーティストのコンサートやイベント、舞台など、ショービジネスの企画・制作・運営なども行う。

    写真・下屋敷和文 文・紺谷宏之

    関連記事

    関連記事