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ツクルバが描く、「場のデザイン、組織づくりの未来」

株式会社ツクルバ

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2011年に創業して以来、革新的な事業を展開し続ける「場の発明」カンパニー、ツクルバ。大量生産・大量消費では却って効率の悪い時代に差し掛かっているいま、コワーキング文化からくる多様性を生かした組織と、領域横断的な事業スキームで、建築・不動産領域に革新を生み出している。同社が今回新設するメタデザイン室について、「ツクルバ全体として、3年後のビジネスの種になるかもしれないようなものを実験している場であって欲しい」と語るのは、CCOの中村真広さん。2011年の創業以来、CEOの村上浩輝さんとともに、「場づくり」を軸に複数の事業をつくってきた。今回のインタビューでは、そんな中村さんに「場のデザインと組織づくりの未来」について聞いた。


——人と人、人と情報が交錯する場をプロデュースするツクルバさん。いま同名義で行われている事業はco-ba、cowcamoの二つですよね。

中村さん:もう一つ、tsukuruba designというチームを設置しています。ここでは自社事業以外にも、クライアントワークとして空間デザインやプロデュースを行っています。

 

——tsukuruba design流のデザインとは?

中村さん:統一したデザイントーンは、実はないんです。ただ考え方としては、企画から設計、運営までをチーム全体で一貫してやるようにしています。例えば渋谷のGood Morning Buildingは、元々集合住宅だった建物を、ある不動産デベロッパーが一棟丸ごと購入するタイミングで、どんな物件に仕立てていくのがいいかと相談を受けたので、施設一棟の企画から入りました。元々の住戸がちょうど良い規模感だったので個室型のシェアオフィスに作り変えて、施設の顔となるキーテナントを我々で誘致し、一棟まるっとリノベーションの設計をしてテナントリーシングまでやる、ということをチーム全体でトータルにやりましたね。そういう関わり方はツクルバ流かなと思います。

 

——tsukuruba design以外にもう一つ、tsukuruba technologyという部門もあります。そこではどういうことをしていますか?

中村さん:tsukuruba technologyは外部からの受託の仕事は受けていない、社内の専門チームです。今は中古リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo」をメインに、テクノロジーの観点から事業の構築を行っています。例えば、エンドユーザーの顧客データベースや物件のデータベースを作ったり、またそれらをどうやってマッチさせるかを考えたり、みたいなことですね。

 

——機会損失をできるだけなくすためにも、効率よくマッチングする仕組みを作っているということですか?

中村さん:というよりは、属人的になりがちな不動産のエージェントのノウハウをテクノロジーで補うことで、みんなの共通の”知”にしたいんです。例えば、お客さんが希望する条件に対してぴったり当てはまる物件がなくても、少し条件の軸をずらすだけでマッチするようなこともあるんです。そういうことができる熟練のエージェントではなくても、テクノロジーのサポートによって最適な提案を出せるとしたら、エージェントは効率的になり、その時間を別の仕事に充てることができます。

——仕組みをうまく回すために、お手伝いさんを入れるようなものですね。

中村さん:人間だけだと、どうしても効率化しようとすると分業制になって、お客さんに対して複数人で対応するようになり、顧客体験もシームレスじゃなくなるし、エージェントも歯車の一部のように感じてしまいます。テクノロジーの力を味方につけて一貫したサービス体験をつくれたら、そこが上手く解決するんですよ。そういう人間の幸福度が上がる方向に、テクノロジーを活用したいと思っています。

 

——現状ではtsukuruba designとtsukuruba technologyという仕組みがある中で、今回新たにメタデザイン室を作られるということですが、どういう経緯なのでしょうか?

中村さん:世の中ではまだ、テクノロジーサイドのエンジニアもデザイナーである、という認識があんまりないと思うんです。実は、情報空間側のデザインをしているのか、実空間側のデザインをしているのかという違いだけで、結局のところはデザインに変わりないと思っています。あと会社組織でいういわゆる経営企画室のような、ビジネスサイドのクリエイションをしている人たちも、ビジネスのデザインをしているわけですよね。この3つを正に”メタ”に統合するようなデザインは、つまりツクルバで言うところの建築×不動産×テクノロジーの掛け算なんですよ。そういう意味でメタなデザインを考える「メタデザイン室」というものを作りたいなと思っています。

——どういうメンバーで構成される予定ですか?

中村さん:まずはtsukuruba designとtsukuruba technologyのメンバーに兼任で任せるところから始めようと思っています。メタデザイン室は、経営企画室の対になる組織にしたいと考えているんですよね。そうすると経営企画室ではビジネスデザインをしているので、経営企画室×メタデザイン室で新規事業を作れたり、少しデザインが優先されるような案件を受けた時に、メタデザイン室が主導しながらもビジネスのフレームワークは経営企画室と一緒に作ったり、といったことができるかなと。

 

——つまり、“イノベーションの種を作る”ということですね。

中村さん:エジソンの実験場のようなものですね。それって通常の業務ラインと切り離して「ここは実験をしていいゾーンだよ」という風に聖域を作らないとなかなかできないことだと思うので、その意味でメタデザイン室を作るんです。あとはデザイナーで、普通に目の前の形と向き合うだけじゃなくて、もう少しメタな方まで思考を飛ばしている人って世の中に結構いると思うので、そういう人たちの居場所にもなりたいと思っています。

『場のデザインを仕事にする 建築×不動産×テクノロジーでつくる未来』(学芸出版社)

——どんなビジネスが生まれるのか楽しみです。

中村さん:例えば今、cowcamoで一棟もののリノベーションマンションのプロデュースをしているんですが、従来だとtsukuruba designが全体のプロデュースをし、それをcowcamoで販売していくという枠組みで行うので、事業横断的になるんです。そこを一貫して進めるには、組織のツリー構造の縦の力ではなく、横の力が強い人が必要で。ロールモデルになるためにも僕はよく、横の軸を通すように動いています。全体のプロデュースをしながら、VRのチームを作って完成前の物件の見せ方を検討したり、来場者の人たちにどうやってその物件での生活をイメージしてもらうかということを考え…という風にやっているんですけれど。そのような役割をまさにメタデザイン室に置きたいんです。領域を横断してメタなデザインを実践したい人と、ぜひ一緒に新しい挑戦がしたいと思っています。

PROFILE

株式会社ツクルバ(tsukuruba inc.)

2011年創業。シェアードワークプレイス「co-ba」や、リノベーション住宅特化の流通プラットフォーム「cowcamo」など、既存の枠組みにとらわれない、新たな時代のスタンダードを生み出す自社サービスで、次々と社会にインパクトを与えている。またクライアントワークとして、空間デザイン、空間プロデュース事業も展開。

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