INTERVIEW

TYMOTEに問う、「結成10周年。さてどうする?」

TYMOTE

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現在地は都内スタジオ。早朝からスタートしたスチールとムービーの撮影が佳境を迎え、制作スタッフ皆、忙しく動いている。その中心にいるのはTYMOTEのメンバー4人。写真左から、浅葉球さん、石井伶さん、井口皓太さん、飯高健人さん。ご覧のとおり、表情は皆、真剣そのもの。時折、その出来栄えに笑顔もみせる。今年で結成10年。国内外のクリエイティブアワードで数多くの受賞歴のある彼らの活動は、多くが知るところ。言わずもがなである。「10年一区切り。今回開催する企画展はTYMOTEとして“最初で最後”。メンバー個々に前進するために不可欠でした」。井口さんがこう話すと他のメンバーも、「そう思う」と口を揃える。TYMOTE10周年の集大成となる企画展「ハブとマングース」(@東京ミッドタウン・デザインハブ)の開催は11月27日~12月24日。TYMOTEのクリエイティブプロセスを紐解き、チームの在り方を問う本展を前に、いま彼らは何を想う? 制作真っ只中の11月某日、冒頭の“ものづくりの現場”で話を聞いた。 [Sponsored by 株式会社TYMOTE]


ーーTYMOTEの10年間。いま、改めて振り返ってみると、どうでしたか?

井口さん:僕らがTYMOTEとして初めて作品を作ったのは2007年。みな、まだ学生でした。横浜赤レンガ倉庫で行われた展示会「the SIX」のために、当時尖ったことをしていた美大生が集まり、チームで作品を作って。その延長で、メンバーの多くが就職しないという道を選び、翌年に法人化したんです。当初は個人名を一切ださず、TYMOTEという会社の名前だけで勝負。グラフィックだったりタイポグラフィだったり映像だったり、全員で自分の持っているアイデンティティみたいなものを持ち寄り、個人じゃできないようなものを作りあげ、それ自体をブランディングしながら日々戦っていた感じだよね?

石井さん:一字一句、間違ってない(笑)

飯高さん:はじめの頃はホントに仕事がなくて、次に繋げるために必死だった。もともと仲の良い人同士で組んだチームではなかったので、メンバー間には常に、「ダサいものを作れない」っていう緊張感があった。

井口さん:ひとつの方向を向いて「ここに向かうぞ」っていう話は本当にしたことがなくて。毎回オーバークオリティを目指し、つぶし合い、引き立て合いながら、全力で突っ込んでいくみたいな。最初は仕事の取り方も、自分たちに何ができるかも、そして世の中にどうアウトプットすればいいかも分からなかった。

石井さん:食べれない時期もあったけど、先輩や仲間が面倒をみてくれて。「おまえら面白そうだから、チャレンジしてみろよ」っていう。

飯高さん:僕の場合はグラフィックデザイン。お互いの得意技を活かし、そこを横断しながらプロジェクトを進めることが多かったので、TYMOTEに10年間所属した結果、いろいろなことができるようになった。常に新しいものを出したいという思いが強かったので、自分の分野でレベルアップし、TYMOTEにフィードバックさせてきた感じだね。

浅葉さん:自分の場合、タイポグラフィが好きで、いまや趣味の領域になっているけど、製作会社に所属している分、広告業界の作法についてはTYMOTEに少しは還元できているかもしれない。

井口さん:(浅葉)球ちゃんは実写や撮影のことが詳しいよね。TYMOTEってパソコン内でできるグラフィックデザインに強みがあったので、違う領域の知見を得れたのは良かったと思う。

石井さん:ホントにみな、カラーが違うよね。ちなみに(飯高)健人の得意技はなんだろう?

浅葉さん:(飯高)健人は手書きの造形美みたいのがうまいと思う。そういう味というか、クラフト感というか。

飯高さん:その部分、これから伸ばしていこうと思います(笑)

ーー誰が求心力となり、これまでプロジェクトを進めてきましたか?

井口さん:TYMOTEって、リーダーを持たないクリエイティブチームで、プロジェクト単位でチームリーダーを決めて動いていて。例えばグラフィックがメインだったら、グラフィックの人たちのほうがネームとして強くて、それに映像をかぶせる感じというか。お互いに役割をみつけ、どこで対等なコミュニケーションを取れるかみたいな繰り返しだよね?

飯高さん:例えば今回の企画展「ハブとマングース」もそう。一緒に作ることを重ねていくうちに、共有する感覚がどんどん増していき、映像を一緒に作る時も少ない言葉のやりとりで理解し合えるっていうのはあると思う。

井口さん:たしかに、「こういう風に狙おう」みたいな話はほぼしない。チームワークから生まれる表現で結果的に、何かしらTYMOTEっぽいトーンがにじみ出てくるというか。

石井さん:毎回微妙に形を変えながら、少しずつ裏切り、更新しながら作ってる感じが近いかも。

浅葉さん:個人的に言うと、今回久しぶりにTYMOTEとして企画展のプロジェクトに参戦してるけど、お互いに空気を読み、バランスをとりながら作っている気がする。ぶつかり合うクリエイティブも嫌いじゃないけど、ここ数年間は皆それぞれ、個人としての仕事に尽力してるから、そこで得た何かをフィードバックできてるんだと思う。

飯高さん:そういえば最近、グラフィック担当の3人(飯高、石井、浅葉)でけっこう一緒に、グラフィックの仕事をやっていて。自分を出しつつ、融合できるところはするっていう駆け引きがすごく面白い。あ、今回ももちろんのこと。たぶん、最初で最後の企画展になるから。

ーー11月27日から約1ヵ月間、10周年の集大成となる企画展「ハブとマングース」が開催されます。そして目下、製作真っ只中。どんな着想を経て、製作に望んでいますか?

井口さん:企画展をやろうという話があがったのは1年ぐらい前だよね? 具体的に話し始めたのは今年の6月~7月。TYMOTEのメンバー全員で集まり、いろいろ議論した末、最終的に今回参戦したのがこの4人です。すでに話したように、ここ数年は皆個人としての動きに尽力し、次の地平に進みはじめているので、なかなか難しい面があったのも事実です。近況でいえば、僕はCEKAIを作り、(飯高)健人も自分のデザイン事務所を構え、石井はブランドを始動。(浅葉)球ちゃんは広告制作会社に所属しつつ、次の一手を考えてる。みな、いろいろ動いてる。

飯高さん:何回か皆で打ち合わせしたんだけどね。とはいえもともと、メンバー全員で1つのものを作るという制作プロセスを踏んできた会社ではないので、10周年とはいえしょうがない面もある。

石井さん:で、実際に動きだしたのは8月、9月頃。そう、製作期間2ヵ月で今、真っ只中。いつもながら密度の高いものを作りたいので皆、それぞれ得意な領域で全力です。

浅葉さん:それが楽しい。

井口さん:「TYMOTEのクリエイティブプロセスを紐解き、チームの在り方を問う」みたいなことをパンフレットには書いてるけど、たしかにそういう面は強いよね? 僕らTYMOTEはこの10年、本当にやりたい仕事を幸いなことに掴んでこれたけど、じゃあこれからもぶつかり合い、共鳴し合いながら仕事をしたいかといえば、そうとも言えるしそうとは言えないところもある。みな30歳を超え、どんな人生設計を描くかみたいなほうが重要になってきてるし、結成した当初から30歳という年齢を心のどこかで意識しながら、いろんなプロジェクトを進めてきた。「30以降はそれぞれやってもいいんじゃないか」っていう話も最初からしてきた気もするし。

飯高さん:今回の「ハブとマングース」ではそんな僕らの10年間の葛藤だったり喜びだったり、チームとして動く楽しさや難しさだったりを、僕らなりに表現してる感じだね。

浅葉さん:ちなみにデザインハブに着想を得たタイトルは、思いつきのアイデアからデザインやアートを介在させながら混沌を生み、創造力へと昇華されるチームスタイルを象徴するものだったりします。

井口さん:今回の企画展には若い人たちにこそ、ぜひ足を運んでもらいたいです。たぶん今の若い世代って、今すぐにでもプロとして働ける時代だから、あえてリスクを背負ってゼロからチームを作って頑張るっていうことをあまりやらないような気がしていて。当時の僕らは力を合わせてやっとプロの仕事みたいな意識があった。そう、とにかく泥臭かった(笑)。この気持ちは今も変わらないし、これからも大切にできればと思っていて。結成10周年。さてどうする? その答えは企画展に来場いただけると感じてもらえると思います。

[イベント概要]
東京ミッドタウン・デザインハブ第70回企画展
「ハブとマングース」

会期:2017年11月27日(月) – 12月24日(日)
開館時間:11:00 – 19:00
会場東京ミッドタウン・デザインハブ(東京都港区赤坂9丁目7番1号ミッドタウン・タワー5階)
入場料無料
ウェブサイト:http://designhub.jp/exhibitions/3382/

PROFILE

TYMOTE

2007年結成のクリエイティブチーム。多摩美術大学、武蔵野美術大学、桑沢デザイン研究所などから美大生が集まり、学生時代に立ち上げ、2008年秋に法人化。以降、グラフィックデザインを軸に、映像・サウンドデザイン・CG・インターフェイスデザイン・Webなど、メンバー8人各々のクリエイティブを追求しながら、さまざまな領域のデザインを提案。プロジェクト単位でリーダーを決め、メンバー間でぶつかり融合し、高い水準のアイデア・企画・作品を追求。全員1980年代生まれ。

http://tymote.jp

    写真・下屋敷和文 編集/文・紺谷宏之

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